日本財団 図書館


開発と限りある地下資源や水・大気・土壌といった非生物資源の大量消費が原因している。

3.環境教育とは何か?:環境教育とは、生物多様性を守り、質素な生活をすることを教える教育である。

 

1997年12月には、国連とギリシャの共催で環境教育の国際会議が開催された。そこで採択された「テサロニキ宣言」でも、「環境教育とは、持続可能性のための教育と言い換えることができる」と述べられている。つまり、国際的に、環境教育は持続可能な社会を実現するための教育活動として方向づけされているのである。今や、国際的な宣言や、海外での進んだ環境教育に関する今回の調査においても、世界の環境教育に関する捉え方が明確になってきているのである。

本レポートは、海外の先進事例の調査によって、3年間にわたって我が国の環境教育のあり方について調査研究を行った成果をまとめた報告書である。3年目を迎えた今年度は、昨年度までに引き続き、環境教育のカリキュラム、法律などの資料収集を続けながら、環境教育の推進の原動力として、特に指導者養成に焦点を当てて、海外の先進事例を収集した。これらの事例を紹介するとともに、3年間の事業全体を通して明らかになった、海外の先進的な環境教育システムについて、多数の資料を翻訳・収録し、これを元に、我が国の環境教育を改革するための考察を行った。

これまで、我が国に紹介されてきた海外の環境教育は、多くは教育プログラムの翻訳を主体としたものであり、各国の地域環境の特性や、社会的、文化的、歴史的背景などが置き去りにされてきた感がある。

本レポートは、環境教育とは何かを明確に整理し、またそれを支援するための法律、行政文書、基本カリキュラム、教育者の養成システムに至るまで、各国の環境教育の動向を総合的に報告した点が大きな成果である。

また、これからの日本の社会を持続可能に転換していくために、先進各国の事例は、社会システムや経済のあり方などにおいて、参考とすべき部分が大変多いことが、本研究によって明らかになった。

本レポートをきっかけに、日本における環境教育の大きな転換と未来の発展を祈ると同時に、私たちの会自体もさらに情報収集や普及活動に力を入れ、我が国における環境教育推進の一翼を担えるよう、一層の努力を重ねていきたい。

最後に、本事業を行うにあたって、快く取材に応じ、また資料を提供してくださった国内外の多くの皆様に感謝を表するとともに、この機会を与えてくださった日本財団に、心から御礼を申し上げる次第である。

 

平成10年3月

 

財団法人埼玉県生態系保護協会

会 長  池 谷 奉 文

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION