は じ め に
20世紀は、人類が利己的な利益を求めて大量生産と大量消費をしてきた「経済の世紀」だったともいえる。身のまわりは、快適で豊かなものに満たされ、50年前には予測不可能だった、便利な暮らしを、我々は手に入れることができた。
しかし一方で、このような豊かな暮らしは、持続不可能であることが次第に明らかになってきた。たとえば大量生産を繰り返すことで、地下資源である石油はあと40年あまりで掘り尽くされてしまうと試算されている。またそうしたことによって、私たちの社会が出すさまざまなゴミが引き起こす地球温暖化、酸性雨、オゾン層の破壊などは、自然生態系をさらに破壊し続け問題となっている。自然の資源を基盤として今を生きる私たち人類は、今までとは異なった価値基準のもと、持続可能な社会へと世界の社会の仕組みを根本から組み直す義務が生じてきている。そのためには、まさに21世紀は「環境の時代」でなければならないと言える。
財団法人埼玉県生態系保護協会では、顕在化する環境問題を解決し、自然生態系を守るために、いち早く海外の先進国の政府やNGOから進んだ考え方を導入し、以下のような結論を得た。
持続可能な社会に転換していくには、自然生態系が持続できる社会経済システムづくりが求められる。そこで、深刻さを増す環境問題を整理し、解決への道筋を考えていくと、以下の3つ認識が必要となってくる。
まず、?@私たちの生存基盤は自然生態系であり、自然生態系には5つの基本要素(生物の多様性、土壌、水、大気、太陽光)」がある。そして?A環境問題とは、自然生態系の5つの要素を破壊することによって起こっている。これらの破壊の内容を整理すると、自然生態系の破壊には生物多様性の喪失と、大気汚染・水質汚濁・廃棄物などすべてを含めた広義のゴミ問題がある。?Bこの2つの問題を解決していくためには、次のようなことが求められる。生物多様性の喪失に対しては、自然をなるべくかたまりで残してつなげていく(ビオトープネットワーク)といった新たな都市計画によって、自然生態系を守り、あるいは育てることが求められる。また、ゴミの問題に対しては、大量にものを生産すれば、大量にゴミがでることから、なるべくものを買わないようにすることでライフスタイルを質素・低消費型とし、さらには自給自足、地域循環型に転換することである。
このたび、3年間にわたって日本財団の助成を受け、海外の環境教育の先進事例と国内での環境教育の実施状況について調査を行った。この調査結果をもとに、欧米から立ち遅れているといわれる我が国の環境教育を進めるためには何が必要かを検討したところ、以下の3つの共通項目が明らかになってきた。
1.環境問題とは何か?:環境問題とは、自然生態系を構成する5つの要素「生物多様性、水、大気、土壌、太陽光」の破壊、すなわち自然生態系の破壊の問題なのである。
具体的にいえば、生物多様性の喪失と、広義のゴミによる水・大気・土壌の汚染、及び循環の破壊なのである。
2.環境問題が起こった原因とは何か?:環境問題とは、多くの野生生物の存在を忘れ、