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2. ギャップ解析

 

2-1. 地図の重ね合わせによる土地利用計画

 

1960年代、アメリカにおいて生態学的な視点や環境に関するデータを地域計画立案のプロセスに取り組む手法が開発された。イアン・L・マクハーグらにより提案されたこの手法は、「地域計画立案に際して、社会経済学的視点のみが考慮され、環境の視点が欠如している」、「総合的視点を持った環境科学がない」、「自然に対する人間の適応を問題として取りあげる理論が存在していない」という反省点から生まれている(マクハーグ、1994)。

地図の重ね合わせによる土地利用計画の具体的な手法は、以下の手順で進められる。

 

(1)対象区域における、生態学的視点(地質・水資源・植生・野生生物など)と、社会学的視点(土地の値段・歴史的価値・市街化区域など)から選出された様々な要因のデータを、基礎資料として収集する。

(2)各要素ごとに等級を付け、地域ごとに色分けをして透明な地図フイルムを作成する(図?T-8)。この際、価値が高い地域ほど色を濃くする。これにより、1つの要素に対して1枚の地図ができあがる。

(3)それぞれの地図をライトテーブルの上で重ね合わせる。これによって価値の高い地域は色濃くなり、価値の低い地域が明るく浮かび上がる。この結果を検討し総合的な土地の評価を行う。

この手法によって、最も効率的な土地利用を反映させた、生態学的環境計画を行うことが可能となった。

 

 

 

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