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1-3. EECONET(ヨーロッパ・エコロジカル・ネットワーク)

 

(1)EECONETの背景となる重要な国際条約

?@ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)

ラムサール条約は、ウェットランド(内陸および海洋・沿岸において、大地が水と出会う浅水域)の破壊を防止するために締結、1975年に発効された。現在の加盟国数は61ヶ国である。加盟国は、その領域内において適切なウェットランドを指定し、ラムサール条約事務局が管理する国際的に重要なウェットランドのリストに載せなければならない。また加盟国は、ウェットランドを保全するための計画手順を各々立案・実行すると同時に、リストにあるウェットランドの保護および領域内のウェットランドにおいて、できる限り賢明な利用を促進しなければならない。ヨーロッパでは、24の国々が加盟しており、同条約は多くのヨーロッパ諸国の、ウェットランドの保護にプラスの影響を与えた。

 

?Aバルセロナ条約(汚染に対する地中海の保護に関する条約)

バルセロナ条約は、UNEP(国連環境計画)によって進められ、1978年に発効された。現在では地中海を囲むすべての国々で採択されている。その意図は、特別保護地域を特定し、またその設置を促すことにより、1)自然資源の保護、2)在来種の多様性の保護、3)特定の自然ハビタットの保護を行うことである。また各国の自然および文化の遺産として重要な海洋・沿岸地域を保護、保全するためのすべての適切な対策を取ることが決めらている。

 

?Bベルン条約(ヨーロッパの野生生物および自然なハビタットの保護に関する条約)

ベルン条約は、ヨーロッパ理事会(Council of Europe)によって推し進められ、1982年に発効された。現在は、ほとんどの西ヨーロッパ諸国、EU、ブルガリア、それに西アフリカの2ヶ国を含む28ヶ国が加盟している。主要目的は、動物相、植物相、およびそれらのハビタットの保全を保障することであるが、それに加えて加盟国間の協力の推奨と、移動性の生き物を含む絶滅危惧および危急種に対し特に留意することを求めている。厳正な保護、あるいは通常の保護が要求される種は、付属書のリストへ記載される。また常設の委員会が設置されており、特定の種や個別のハビタットの保全の重要性の勧告、および条約の適応状況のモニタリングを行っている。

 

?Cボン条約(移動性野生動物の保全に関する条約)

ボン条約は、1972年の国連人間環境会議(ストックホルム会議)において採択された行動計画の勧告のひとつから始まっており、1983年に発効された。第一の目的は、絶滅が危惧される、いくつかの移動性の生物の厳正な保護であり、これら生物の行動圏

 

 

 

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