2. 兵庫県
●柴山港漁業協同組合組合長 寺川恒明氏(兵庫県香住町)
●1997年11月11日(火)9:10〜11:00
●概要
(1)組合の概況
・正組合員147名、準組合員433名
・底引網漁船11隻(65〜85トン、8〜10人乗り)。年間水揚げ高17億円
11月〜3月:カニ漁(14億円)漁場である隠岐北方まで14、15時間
9月〜5月:カレイ、ハタハタ、ホタルイカ
(2)ナホトカ号事故後の対応
・1月5日座礁、9日に重油漂着。ドラム缶に300本以上の重油回収。対応経緯は県水産事務所(香住)に資料あり。
・組合長が子供の頃から、船舶廃油などに対し中和剤を散布していたが湾内の魚がいなくなる等の被害が出ており、今回の事故でも組合員に対しては中和剤を使わないよう指導。
・漁協に出入りしている地元業者がオッペンハイマーのバイオ処理剤を持ち込んできた。重油の処理に追われており、重油被害より悪いものではないとの判断から試験散布を許可した。岩場にへばりついた重油がはがれるなど顕著な効果が見られた。
・2月5日〜9日に、米国からオッペンハイマー博士が来訪。香住町対策本部、海上保安署などが立会いのもと公開実験を行った。
・6月から8月にかけて、重油を除去せずに残しておいた汚染海岸(無南垣むなかいの岩場をバイオ実験場として利用した。実験に客観性をもたせるため第三者機関に評価などを依頼した。周辺海域の魚貝、藻類などの生息回復状況をみるとかなり効果はあるようだ(他の海域では貝類死滅し、海草生育も少ない)。
・来年早々には報告書がまとまる予定である。
分析試験:昭和シェル
安全性試験:ヤクルト薬品工業
分解調査:熊本県立大学生活科学部 堤助教授
現地試験作成:兵庫県立水産試験場 真鍋部長
評価:東京大学海洋研究所 大和田教授
その他:兵庫県防災監 斎藤氏、兵庫県農林水産部次長、但馬県民局参事 安藤氏
・7月に環境庁竹野事務所から現場視察に来た職員に対し、バイオ処理の効果を説明した。9月から国立環境研究所水土壌圏環境部(部長渡辺正孝佐氏)が佐今谷(さこんだに)の岩場で実験開始した。放置、中和剤、バイオ処理(栄養塩散布)の3方法で比較した。外海に面していたため、9月の台風で実験装置が流されてしまった(結果はどうなったか?)
・汚染海岸に中和剤を高圧洗浄水散布したが、湾内のナマコ、貝類、サヨリ、ニシンなどが死んでしまった。また、夏場の気温上昇で重油が再度溶け出した。
・但馬に漁協は5つあるが、バイオ処理に対する問い合わせはなかった。