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(4)現在実施中のバイオレメディエーション・プロジェクト

米国で現在実施されているいくつかのバイオレメディエーション・プロジェクトの要約を付属資料に掲載する。この要約表は政府機関およびバイオレメディエーション・コンサルタントなど様々な情報源に基づく。この表は各現場について次の情報を提供することを試みている。

・現場名と場所

・処理汚染物のタイプ(全石油炭化水素または多環芳香族炭化水素)

・現場での活動履歴

・処理媒体のタイプ(土壌や地下水など)

・プロジェクト期間

・処理タイプ(バイオベンティング、バイオパイルなど)

・プロジェクト費用

・プロジェクト費用に影響するその他のファクター

 

(5)バイオレメディエーションの評価

米国ではバイオレメディエーションの現場での実施に関連して、プロジェクトの遂行監視とならんで処理の有効性などを監視測定する手順や指針などが整備されている(本報告書の3.1.3 バイオレメディエーション技術の選定と評価の手順を参照)。しかしながら、バイオレメディエーションが自然界で不断に行われている汚染物質の自然分解を促進する手法であることから、有効性を正当に評価しにくい面がある。油質の他、地形や風、海流などにも大きく左右される。そのため、そもそもバイオレメディエーションが手法として有効なのか、有効ならばどの程度有効か、といった基本的な疑問が根強く残っている。特に海上での適用や、微生物を導入する方法などについて批判的な意見が強い。このため、バイオレメディエーションを根本的に評価する動きが国や石油業界に見られる。ここでは、EPAの最近の評価実験と民間における評価施設を紹介する。

 

1)EPAの基礎評価実験

EPAのベノーサ(Albert D.Venosa)らは1994年からシンシナチ大学と共同でデラウェア湾の私有地でバイオレメディエーションの評価実験を行っている。この実験は偶然の要素をできるだけ排除するため、?@被検体の地理的条件を揃えたこと、?A5つのブロックに分けて統計的有意性に配慮したこと、?Bブロック内の被検体の配置をランダムにして配置による効果を除去したこと、?C被検体同士のコンタミに十分注意したこと、などの特徴がある。また、効果の測定、補正、統計処理も綿密に行っている。氏から直接聞いた話では現場に栄養分が不足している場合、栄養分を投入すれば微生物の分解が促進されるが、

 

 

 

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