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(2)バイオスティミュレーションとバイオオーグメンテーション

バイオレメディエーションには、肥料や栄養分を汚染された現場に添加し、現場に生存する分解菌の増殖を助けるバイオスティミュレーションと現場に他所から分解菌を持ち込むバイオオーグメンテーションがある。ここ数年間で見ると、バイオスティミュレーションの適用例はバイオオーグメンテーションの適用例を数の上で大幅に上回っている。例えば、1994年には、EPAは同庁が追跡している128箇所の現場の77%がバイオオーグメンテーションよリバイオスティミュレーションを選択しているとの報告を出した1

バイオスティミュレーションを採用している現場の数に関するデータはほとんどないが、何千という石油汚染現場で使用されていると推定される。これはガソリン・ステーションの燃料漏れなど、「小さな」現場ではバイオスティミュレーションが費用効果の高い改善策であることが明らかになっているからである。

 

(3)バイオレメディエーションのコストとマーケット

米国では海洋石油流出に対する海面施与のためバイオレメディエーションが試みられた2つの例が報告されている。最初の例はメキシコ湾で発生した1990年のMEGA BORG石油流出事故である。この流出に関する報告はTexas Land Office,Austin,Texasから入手できる。残念ながらこの報告ではバイオレメディエーションの費用データを得ることはできない。もう一つの例は脚注1に参照するAPEX石油流出事故である。

バイオレメディエーションが好ましい改善策であった多数の内陸での石油流出およびスーパーファンド現場からのデータを検討することでバイオレメディエーション固有のプロジェクト費用を求めようと試みた。現場タイプは小規模な角のガソリン・スタンドから大規模な工業用地まで多岐にわたる。費用範囲も広く、1万ドル(米ドル)以下から数百万ドル(米ドル)まで多様である。バイオレメディエーションの費用はプロジェクトの複雑さに応じて大きく変わる可能性がある。例えば、ほとんどのバイオレメディエーション・プロジェクトは独立していない。通常は、土壌蒸気抽出、安定化、機械的分離、掘削など追加の処理法を伴う。バイオレメディエーションの費用は1立法メートル当り25ドルから1立法メートル当り250ドルを優に超えるレベルまで多様になる可能性がある。

規制機関はASTM RBCA基準(後述)などの新しい浄化基準を採用しているので、バイオレメディエーションは正規の形で採用されることが予想される。米国ではすでにバイオレメディエーション市場の大幅な成長がみられている。現在の米国市場は1億5千万ドル〜3億ドル(米ドル)と推定される2

DEVOS Enterprises社のKate Devine女史によれば、米国のバイオレメディエーション市場は西暦2000年までに6億ドル〜7億ドル(米ドル)になると見積もられる。女史はバイオレメディエーション・サービスおよび(または)製品を提供することを主張している会社は約千社にのぼると明言している。

 

1さらに詳しい情報については、下記のインターネットアドレスにある。

http://www.sgccleanup.com/bioremediation.html

2J.Wilck, To bioremediate or Not is the question, BIOTECHNOLOGY 251:SR14

 

 

 

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