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ま え が き

 

本報告書は平成9年度に財団法人未来工学研究所が財団法人日本財団の補助を受けて実施した「生物学的環境修復手法の社会的コンセンサス形成の調査研究」の成果をとりまとめたものである。

1997年1月に起きたロシア・タンカー「ナホトカ号」の沈没・重油流出事故は日本海沿岸各地に大きな被害をもたらしたが、我が国が日常的に油汚染の危険にさらされていることの実感と同時に、汚染された地域の除去作業をボランティアなどの人力に頼らざるを得ない苦々しさも味合わされた。

欧米では油汚染に対して微生物の働きを活用した、生物学的環境修復手法(バイオレメディエーション)が物理的、化学的手法と並んで盛んに採用されている。これに対し、我が国では研究や技術の未成熟なこともあるが、住民の生物学的手法に対する潜在的な不安感などもあって、基礎的な実験なども容易には行えないような状況にある。ナホトカ号の事故のあと、内外からバイオレメディエーション適用の提案もいくつかあったようだが、中には効果に対して、過大な期待を抱かせすぎ誤解を招くようなものもあった。

本調査研究はこのような状況の下で、生物学的環境修復手法の内外の現状を踏まえた上で、これに対する我が国住民の理解と社会的コンセンサスを得るための条件を明らかにするために、内外の現地調査を実施し、委員会等で検討を行なったものである。この調査研究結果が今後の油汚染対策にいささかでも貢献すれば幸いである。

なお、本事業に補助していただいた日本財団とその関係各位に感謝する。

平成10年3月31日

財団法人未来工学研究所

理事 政策研究総合センター長

長谷川洋作

 

 

 

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