5.12 海洋気象観測衛星「ノア」受信装置
5.12.1 概説
海洋気象観測衛星「ノア」は、運営する米国商務省の海洋大気庁(NOAA)に由来し、米国航空宇宙局(NASA)により打ち上げられ、気象観測衛星と同様にWMOが計画した全世界の常時気象観測体制の一環として高度約850kmの上空を102分で両極付近を通って(軌道傾斜角:98.7度)地球を周回する「極軌道衛星」で、改良型高分解能放射計(AVHRR)により可視画像2チャンネル、赤外画像3チャンネルで地球上の温度を観測し、即時に地球へ東西3,000km、進行方向(南北方向)3,200kmの範囲に自動送画装置で送信し、その信号は地球上のどの地点でも受信できる。受信時間は約10分前後で一定ではなく、受信時刻も少しずつ変わる。
「ノア」の分解能は、距離4km、温度0.43℃で、温度については、256階調である。この細かい温度分解能は、特に海面の温度分布の観測に威力を発揮し、潮目や暖流の流れを受信画像で明瞭に識別することができる。
この他に高解像度画像(HRPT)データ(地上分解能1.1km温度分解能0.1℃)も送信している。
「ノア」の使用周波数は、137.50MHzと137.62MHzの2種類で、送信出力は5Wである。
5.12.2 システム構成
「ノア」受信装置の構成の一例を<図5.12.1>に示す。
5.12.3 装備場所
受信用空中線の装備場所の選定が重要である。空中線の指向角内に障害物が入らないように上甲板のマスト上に設置する必要がある。