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? 潮流の概況

 

この海域における潮汐・潮流は、紀伊水道を通じて外海から流入する潮汐波によって起こされる。この潮流は、域水道をほぼ一様に北上し友ヶ島水道を経て大阪湾に入り、明石海峡を通過して播磨灘に至る。

しかし、鳴門海峡は通過流量が非常に小さいため、播磨灘の流況に与える影響は極めて少ない。

紀伊水道、大阪湾、及び播磨灘の潮流の概況は次のとおりである。

なお、鳴門海峡、友ヶ島水道、及び明石海峡の潮流については、昭和60年刊行の潮流図No6202を併用されたい。

 

紀伊水道

 

潮汐の潮時は、下津〜小松島で神戸より約1時間に高潮となる。

流れの潮時は、この付近で、赤石海峡より100〜110分早く転流する。

即ち、和歌山の高潮前2時頃から北流となり、高潮後1時頃最強となって低潮前2時頃南流に転じる。

流速は強くなく、1kn前後までで、南へ向かう程に弱まる。

 

友ヶ島水道

 

明石大橋より約1時間早く転流する。和歌山の高潮(低潮)前2.3時頃北(南)流に転じ、高潮後0.8時頃北(南)流最強となる。

流速は、大潮平均で約2.5kn、年間最大で約3.8knとなる。

 

大阪湾

 

1. 明石海峡の西流時即ち、友ヶ島水道の北流時には、友ヶ島水道から明石海峡東口に至る一線付近では、ほぼ北方へ向かい、流速は、大潮時に約1knに達する。

神戸から南方に引いた一線の東側海面では、流速は概ね0.5kmを超えることなく、流向は、日によって著しく変化し一定しない。

西流開始の頃は、淡路島北東岸仮屋沖6M付近に存在する沖ノ瀬一帯、及び、神戸、大阪沖に右旋の還流を生ずるが明石海峡の西流が強まって最強の頃になると消滅する。

2. 明石海峡の東流時即ち、友ヶ島水道の南流時には、明石海峡東口付近から友ケ島水道に至る一線付近ではほぼ南南西方へ流れ、流速は、大潮時に約1knに達する。また、明石海峡東口から東方に引いた一線付近では東方へ流れ、その北側では反対の方向へ流れる。しかし、明石海峡東口から友ケ島水道に至る一線付近を除けば、流速は、一般に弱く、流速・流向とも日によって一定しない。

3. 潮時は、友ヶ島水道付近が最も早く、淡路島東岸を北上にするにつれて順次遅くなるが、明石海峡より早い。

湾の東部では、明石海峡より遅いが、特に関西国際空港沖命付近から明石海峡寄りの湾央にかけてかなり遅い。

 

 

 

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