ANNEX 有害水生生物・病原体の移動を最小化する船舶バラスト水制御・管理のためのガイドライン
1 序文
1 序文
1.1 各国で実施された研究によれば,船舶で運搬されるバラスト水及び沈殿物の中で,多くの細菌,植物及び動物の種が,数ケ月の航海の後でさえも生き延びることが判明している。
寄港国水域へのバラスト水又は沈殿物排出の結果として,土着の人間及び動植物の生命並びに海洋環境に脅威となる,有害な水生生物及び病原体が定着することになる。
地理学的に離れた水域間の生物移動の原因となる他の媒体もいくつか確認されているが,なかでも船舶のバラスト水排出による移動が突出している。
1.2 バラスト水排出が被害を及ぼす可能性については,IMOのみならず,伝染病バクテリアの拡散媒体としてのバラスト水の関与を懸念している世界保健機構(WHO)においても認識されている。
1.3 本ガイドラインは,これらの問題についての解決策というものではない。
本ガイドラインの各項目は,正しく適用された場合の,バラスト水排出に関連する危険性最小化促進手段とみなされるべきものである。
本ガイドラインは,科学的かつ技術的な進歩により,当該危険性に対し,より適切に対応できるように改善されることになる。
それまでは,この問題軽減に寄与することができる寄港国,旗国及び他の団体は,相当な注意及び適切な努力をもって,できる限り本ガイドラインに従うことに全力を注がなければならない。
1.4 危険性最小化のための適切な方法の選択は,対象となる生物の種類,関連する危険性の程度,環境的受容性,実用上及び生態学上の費用,船舶の安全性等,さまざまな要因に基づいたものとなる。
2 定義
本ガイドラインの適用上,以下の定義を適用する。
「主官庁」とは,船舶の運航を管轄する国の政府をいう。
「条約」とは,MARPOL 73/78(1973年海洋汚染防止条約及び同条約の1978年議定書)をいう。
「加盟国」とは,国際海事機関(IMO)に加盟している国をいう。
「機関」とは,IMOをいう。
「寄港国当局」とは,ガイドラインの管理運営あるいは国内及び国際海運の規制方策履
行に関する基準及び規則の実施のため,寄港国政府により認定された職員又は機関をいう。
「処理」とは,バラスト水に含まれる有害又は有害の可能性ある生物の,殺滅,除去又は無繁殖力化のための工程あるいは機械的,物理的,科学的又は生物学的な方法をいう。