4.4 有用性の検討
(1)オゾンの海洋生物殺滅効果
「4.3実験結果」から、オゾンによる海洋生物の殺滅濃度をまとめると次のようになる。ただし、動植物プランクトンに関しては、運動停止,鞭毛脱落・色素脱色など生物の生体状態に影響が表れるダメージ濃度である。
・植物プランクトン――殺滅濃度(ダメージ濃度): 1 mg/L
(有殻渦鞭毛藻)――殺滅濃度(ダメージ濃度): 0.6 ng/L
・動物プランクトン――殺滅濃度(ダメージ濃度):0.6 mg/L
・細菌類 ――殺滅濃度 :10 mg/L
(注:濃度はオキシダント濃度)
(2)他の化学薬品処理との比較
他の化学薬品による海洋生物殺滅実験は、ホルムアルデヒド,次亜塩素酸ソーダ,過酸化水素の有害プランクトン(Alexandrium属)に対するものがある1)。それら薬品の本実験結果と比較の対象となる遊泳細胞に対する殺滅濃度は、次の濃度である。
・ホルムアルデヒド:10mg/L
・次亜塩素酸ソーダ:1mg/L
(有効塩素濃度)
・過酸化水素 :1mg/L
これに対して、上記、オゾンの殺滅濃度は、植物プランクトンで次亜塩素酸ソ―ダと過酸化水素と同じ1mg/L、Alexandrium属が所属する有殻渦鞭毛藻で0.6mg/Lであり、本実験によるオゾンの殺滅効果は充分に評価し得るものと考える。
また、他の化学薬品による実験は、Alexandriumを単離して薬品に接触させる方法で行ったものであり、薬品の分解が進みにくく、薬品の効力が利きやすい状態での結果である。これに対して、本オゾン実験は、プランクトン以外の物質が多く含まれる港湾の海水を直接(無処理)実験に使用しており、分解が進みやすく、オゾンの効力が利きにくい状態で行ったものである。この点を考慮すると、リバラスト代替手段として検討された化学薬品処理の中では、オゾン処理が最も効果的である可能性が高い。
(3)オゾンの分解性
化学薬品処理には、リバラスト代替手段として採用する場合において、バラスト水処理後、二次汚染を起こさないために排出時には無害になっていなければならない宿命がある。この問題に対して化学薬品は、強い海洋生物殺滅効果を有