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? 研究概要

 

1. 実施目的

 

船舶のバラスト水に混入して移動する海洋生物が、本来生息していない海域に侵入・帰化することにより、当該海域における貝毒の発生、生態系破壊など環境に対して有害な生物学的影響を与えることが、新たな海洋汚染問題として取り上げられてきた。

国際的には、国連の専門機関である国際海事機関(IMO)において対策の検討が早急に進められており、平成9年7月に開催された同機関の「第38回海洋環境保護委員会(MEPC)」において、バラスト水管理規制を義務化するために規制およびガイドラインの策定を平成10年11月を目途として行うこととなった。

また、豪州,ニュージーランド,カナダ,米国,アルゼンチン,チリ,ペルー.イスラエル等においては、自国の海域又はその一部に入域する船舶に対してバラスト水管理の自主規制を既に実施している。

現在、わが国の海運界においては、これら自主規制に対応する唯一の方策として、入域前に外洋上においてバラスト水を交換(リバラスト)する手段を講じているが、リバラストは船舶の航行中に実施されることから、航行安全上問題があるうえ、その有効性についても確認されていない。

一方、豪州,ドイツおよび英国等の欧米諸国においては、リバラストの代替手段として、温度管理法,光処理法,電気処理法,フィルタリング法等に関する調査研究が行われている。

本調査では、このような状況を鑑み、海運等の関係業界が実施可能な効果的代替手段についての調査研究および実証を行うことにより、当問題に関する合理的な解決策および国際的な対応策の検討に寄与し、ひいては海洋生態系の維持および海洋環境保全に資することを目的とする。

 

 

 

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