?操船特性を評価する指標では、
*潮流が与える操船への影響評価指標として、環境ストレス値およびSNS値
*潮流が与える操縦への影響評価指標として、斜航角および追越し関係
*潮流が与える測位への影響評価指標として、測位誤差
?交通特性を評価する指標では、
航法の変更で期待できる改善効果の指標として、推定困難度を検討し、多面的な評価指標を得るとともに、これらを用いた総合評価の方法について検討した。
さらに、来島海峡の航行安全対策として指摘されている右側通航の有効性について検討するため、順中逆西および右側通航の両航法による、大型船(全長180m)と小型船(全長65m)の航行を模擬する操船シミュレータ実験を実施し、その操船結果に上記の評価指標を適用して、各航法における問題点等を整理するとともに、その対応策(案)を示した。
来島海峡の航行環境を多面的に評価し、さらにこれらを統合して総合的に評価する手法は初めての試みであり、各評価指標においては研究の緒についたばかりのものもあること、来島海峡の潮流がきわめて複雑でありその再現が難しいこと等から、「今後の課題」として整理したとおり、今後さらに調査研究が必要な事項が多く残されている。
平成10年1月1日より来島海峡海上交通センターの運用が開始され、海上交通情報の提供と航行管制の業務を行っている。海上交通センターが来島海峡の航行安全に寄与するところは大なるものと期待され、その効用を見守るとともに、「今後の課題」として示した事項は、その完成の度を高めることにより新たな評価・検討の方法として、来島海峡のみならず他の海域にも適用できるものであることから、引き続き調査研究を進めることが望まれる。
おわりに、調査研究の実施にあたり、ご協力を賜った関係各位に謝辞を表する。