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4.3通航方式の検討

平成9年度に実施した操船シミュレータ実験の条件は以下の通りであった。

?潮流・・・・・・・最強流速時(北流・南流各9ノット)

?その他自然環境・・昼間・視界良好・風の影響無し

?交通環境・・・・・最も輻輳している状況

?対象船型・・・・・2船型(大型船・小型船)

?通航方式・・・・・順中逆西および右側通航

操船シミュレータ実験の結果は、各局面にあってほぼ通峡は可能であった。サンプル数は少なく、かつ、潮流の再現性あるいは評価方法・評価基準等の課題はあるものの、今回の調査研究および実験を通じて順中逆西ならびに右側通航の両航法の特徴、問題点を把握することができた。

来島海峡の航行安全対策としての右側通航については、各水道毎に流向・流速に応じた通峡方法(通航可能な船型・速力、確保すべき船問距離、航行ルート等)、潮流の向き・強さに応じて様相が異なる渦流等とその操船に与える影響等の具体的な検討が必要である。そのため、評価方法、評価指標のさらなる調査研究、より再現性が高く精緻な潮流場(モデル)および船体運動モデルの構築とともに、最強潮流下のみならず種々の潮流の状況下における調査研究と数多くの実験を実施することが必要と考えられる。

これらの検討を通じて、右側通航を実施するに必要な要素(船型や潮流速等)と要素間の関連を把握したうえで、順中逆西と右側通航の利点・欠点を総合的に評価し、来島海峡の航行安全対策のひとつとしての航法のあり方を検討・策定することが必要である。

 

4.4航路出入り口付近における船舶交通の整流策の検討

航路から出るときはそれまで一定の流れを形成していた船舶交通が拡散し、航路に入るときは収束することから、いずれの場合においても、それまでの交通の流れが変化し、複雑な見合い関係の発生等により危険性が高まるおそれがある。

来島海峡においては、交通の拡散・収束に潮流の影響が加わること、また、航路西口付近においては航行経路が複雑であるため交差が生じ易いことを踏まえた、航路出入り口付近における船舶交通の整流方法についての検討が必要である。

 

 

 

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