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2)生理的反応(大型船1回目のデータは欠測)

大型船2回目のSNS値の標準偏差は15.11、小型船のSNS値の標準偏差は16.51である。

水域Jにおける大型船のSNS値の発生(距離軸1000m付近)は、先行する同航船の行動予測、避航動作および追越し動作に起因するものとされた。小型船のSNS値(距離軸2000m未満)は、減速による船間距離の確保(減速による避航と捉えることができる)によるものとされた。また、大型船・小型船ともに、距離軸2000m付近においてSNS値の発生がみられる。これは、自船の変針点付近に達している状況で、先行する同航船の動静を監視(行動を予測)することによる負担であるとされた。

水域Iにおいては、大型船は変針動作と先行する同航船の行動予測により、小型船は変針動作と先行する同航船への避航動作により、SNS値の発生がみられた。

水域Hでは、大型船は中渡島よりに斜航しながら最狭部を航過した。SNS値はこれに対応しているものと推察される。小型船の場合は、ほとんど斜航することなく、かつ、同航船ともある程度距離を保って最狭部を通過できている。SNS値の発生は少ない。

水域Gでは、大型船は頻繁に舵操作を行って、右舷への圧流に対処している。SNS値の発生はこれに対応しているものとされた。小型船にも圧流の傾向がみられるが、SNS値は同航船に対する行動予測によるものとされた。また、この水域では変針も行われており、変針操船に起因してSNS値が発生したものと考えられる。

水域Fでは、並航する同航船への注意監視が、SNS値の発生に影響しているとされた。

これらのことから、南流時に中水道を北航する場合の操船上の負担として、最狭部の南側水域において、変針操船と先行する同航船を要因とするもの、最狭部航過後の圧流への対処を要因とするもの、中水道の北側水域で並航する同航船を要因とするもの、ならびに針路制御を要因とするものを挙げることができる。

 

3)潮流影響

大型船1回目は、環境ストレス値の項で触れた通り、水域I(中水道最狭部の南側水域)において減速したために逆潮の影響により馬島側へ圧流されることとなった。この時、斜航角は約17°になっている。引き続いて主機を増速し、最狭部へ向首することとなったが、水域H(中水道最狭部)は最強流速域でもあり、右舷へ約23°の斜航角を示すことになった。

水域G(中水道最狭部の北側水域)では右舷への圧流が現れ、さらには水域F(中水道の北側水域)では、左舷の圧流が現れた。大型船2回目では、1回目を参考とした操船が行われたものの、この時の斜航角は基準値を超えることはなかったが、同じ変化傾向であった。

小型船の斜航角に着目すると、最狭部までは大型船とは異なる変化傾向となっているが、最狭部を航過してから(水域G・水域F)は、大型船と同じ変化傾向を示していると見ることができる。即ち、小型船の最狭部以南での操船は、大型船と大きく異なるものであり、船型の違いもあって潮流の影響は少なかった。しかし、最狭部を航過してか

 

 

 

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