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い段階で変針動作がとられた。このために航路中央寄りで定針することになり、圧流によりさらに南側へ進出してしまった訳である。

大型船2回目は変針後の圧流を意識し、適宜タイドウェイをとられた。結果、反航船へ接近する状況にはならず、交通環境ストレス値の増大はみられなかった。

○小型船

小型船は減速して同航船との距離を確保したために、水域Jおいて大型船にみられるような環境ストレス値の高まりは認められない。(距離軸500mから1000mにかけて交通環境ストレス値が大きくなっているが、これは後続の同航船が接近してきたためである。事実、1000m地点付近で増速したために、見合い関係は解消され、環境ストレス値は急激に減少している。)

水域I・水域H・水域G(中水道最狭部の南側〜北側の水域)では、交通環境ストレス値が認められる。先行する同航船の速力が逆潮のために低下し、本船が追いついてしまったことによるものである。

水域F(中水道の北側水域)において、交通環境ストレス値に増加の傾向が認められる。大型船にみられたように、西方向への変針後の左舷側への圧流による他船への接近状況によるものである。

 

環境ストレス値に着目すると、大型船1回目は追越し操船の影響が大きく、水域Jおよび水域Iにかけて基準値を超える状況で推移している。また、最狭部付近では追い越した同航船との間に再び見合い関係が生じ、基準値を超える状況が生じた。さらには、水域Fにおいても反航船との見合いにより最大値を示すことになった。

大型船2回目は1回目の操船結果を参考としたために、最狭部以降の操船には改善がみられる。しかし、水域Jにおける環境ストレス値は依然高いものであり、大型船の操船者に負担を強いる結果となった。

一方、小型船の場合は基準値を超えることはなく、かつ、最高値を与えてるのは、操船環境ストレス値となっている。他船による影響は少なかったとみることができる。

以上のことから、南流時に中水道を北航する場合には、最狭部に接近するにつれて潮流の影響が強くなることから、最狭部の手前で他船を追い越す操船は困難になると思われる。先行する同航船とは十分な距離を保って水道内に進入することが望ましいと言える。ただし、後続する同航船がいる場合には、自船が最狭部付近で速力が低下し、結果後続の同航船との距離が縮まる可能性があることにも留意する必要がある。

また、最狭部を航過した後には右舷への圧流が発生する。これを嫌って早めに変針すると航路中央よりの進路となり、今度は左舷への圧流により反航船に接近する危険が生じるので注意を要する。

 

 

 

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