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6.3.4「右側通航」時の評価結果

(1)右側通航:中水道・北航(南流時:シナリオ5)の場合

このシナリオでは、大型船について2回のケース、小型船について1回のケースが実施された。図IV-6-20に大型船の評価結果を、図IV-6-21に小型船の評価結果を、図IV-6-22に基準値による比較結果を示す。

 

1)環境ストレス

操船環境ストレス値は大型船(1回目・2回目)・小型船とも水域J(中水道の南側水域)から水域I(中水道最狭部の南側水域)にかけて増加傾向にあり、水域H(中水道最狭部)に至る付近から減少傾向が認められる。これは馬島・中渡島への接近していく状況と最狭部付近で北側の水域が望める状況とに対応している。大型船の場合は、水域」から水域Iにかけて比較的高い値で推移しているが、小型船の場合は低い値からの増加傾向を示している。これは、大型船は1回目2回目ともに対水速力を15ノットとしたのに対し、小型船は対水速力8ノットとしたためと考えられる。

実験開始時には自船前方に先行する同航船がおり、大型船の場合は、1回目・2回目とも同航船の右側に移行し中渡島よりも目指すものとされた。小型船の場合は、先行する同航船との距離の確保した後に増速した。

○大型船

水域Jにおける大型船の交通環境ストレス値は、先行する同航船に接近していく状況に対応している。

水域I(中水道の南側水域)に至った時点で、大型船(1回目)はさらに先行している同航船と最狭部で並航することが予想されたため、減速による船間距離の確保を図った。逆潮(南流)の影響を強く受け始め馬島方向に圧流された。交通環境ストレス値に減少傾向が認められるのは、同水域における同航船の北方向への変針と自船の圧流による偏位が重なって、見合い関係が解消されたためと推測できる。

この後、最狭部付近で再び交通環境ストレス値の急激な増加が認められる。大型船(1回目)は馬島寄りに圧流された後、主機を増速して逆流に対抗し、最狭部に向首することができた。しかし、この週程で蛇行してしまい、先に追い越した同航船との間に再び見合い関係が生じてしまったためである。

大型船2回目では、1回目における馬島への圧流を考慮し、極力潮流に向首する進路とした。その結果、1回目よりも同航船に接近する進路となったため、距離軸2000m付近での交通環境ストレス値が大きくなったものと考えられる。

 

また、大型船1回目で西方向への変針後、水域F(中水道の北側水域)において、交通環境ストレス値の増加が認められる。これは南流を右舷側から受け、左舷に圧流されて西水道を目指す反航船との間に見合い関係が生じたためである。中水道最狭部を航過して北上中に潮流により右舷(東方向)への圧流が卓越したために、操船計画よりも早

 

 

 

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