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6)操船の負担(航路出入り口付近)

海上交通流シミュレーションによって、来島海峡航路の東西の出入り口付近の交差状況についての評価が行われた。当シミュレーションでは南流時(航路出入り口付近の交差あり)、北流時(交差なし)の双方の航行状況について推定困難度が求められた。

なお、推定困難度については1トリップ(東口および西口の両方を含む)の平均値と最大値の平均値が求められたが、ここでは、通航方式による違いを特徴的に表す最大値の平均値に着目するものとした。

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7)まとめ

図IV-6-19に各評価方法による順中逆西における総合評価を示す。

海上交通流シミュレーションにより、南流時における航路出入り口付近の交差が北流時よりも推定困難度を押し上げる傾向を確認することができた(図IV-6-19、第6段)。このことからは、交差がない状況(北流・北航)の方が望ましいと言える。

 

操船シミュレータ実験では流速が9ノット強潮流下での中水道・西水道における航行を再現した。その結果、

環境ストレス(図IV-6-19、第1段)にみられるように、大型船の環境ストレスがいずれのシナリオにおいても、小型船より大きく(即ち、実験における航程に対する基準値を超える状況の割合が高い)なっている。これは、大型船が先行する同航船を追い越す操船方法をとったことに比べ、小型船は速力を減じて船間距離の確保を図ったためである。

特に南流時のシナリオ(シナリオ3:中水道・南航:図IV-6-10、シナリオ4:西水道・北航:図IV-6-13)においては、追越し動作をとったものの潮流の影響が強く、同航船との速力差を得ることができなかったために、水道内で当同航船と近接する状況が継続してしまった。北流時のシナリオ(シナリオ1:中水道・北航:図IV-6-4、シナリオ2:西水道・南航:図IV-6-7)においても比較的高い数値が示されている。これはともに地形的な制約がある状況で他船を追い越すことにより、総合的に負担を大きくする状況となったものである。

生理的反応からは、操船者は変針動作、避航動作、他船への注意に負担を感じていることが明らかになった。

 

 

 

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