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険な関係が生じ、基準値を大きく超えるような状況に陥る可能性があるものと考えられる。

これらのことから、南流時に西水道を北航する際には、前後して並航する同航船との関係が、水道の屈曲だけではなく、自船・他船への潮流の影響(対地速力の低下、変針後の圧流等)によって大きく変動することに注意する必要があると言える。

 

2)生理的反応(小型船のデータは欠測)

このケースでのSNS値は標準偏差31.74以上のSNS値である。

水域E(西水道の南側水域)では、先行する同航船の右舷側に出る操船が行われた。ここでのSNS値は、操船意志決定の過程における当該同航船の行動推定と避航操船における負担に対応している。また、水域Eの終端付近(距離軸3000mの直前)でのSNSの発生は変針時機の決定に逡巡したためとされた。

水域D(ウズ鼻の南側水域)でのSNS値の発生は西水道に向首するための変針操船に伴うものである。また、同航船に対して注意をはらっていることもうかがえた。

水域C(ウズ鼻から小浦埼付近)では屈曲部付近で同航船とほとんど並んで変針した。SNS値の発生はこの状況に対応している。また、さらに先行する同航船への追越し操船に対応する発生も認められる。

水域B(小島の東側水域)では、西方への変針操船が行われた。SNS値の発生は、この変針操船に対応するものである。

南流時に西水道を北航するにあたって、ほとんどの水域を通じて避航操船、他船注意、変針動作に起因するSNS値の発生が認められた。特に、屈曲部付近において、変針動作と同航船に対する注意が同時に行われた状況では、操船者が大きな負担を強いられたものと推測された。

 

3)潮流影響

水域E(西水道の南側水域)では、大型船の斜航角は5°以下であるが、小型船では、最大で8°程度となっている。前述の通り、大型船は前方の同航船を右転じて避けるとともに、速力を減じることがなかったため(対水速力15ノット)この水域における圧流量は少ない。一方、小型船は減速したため(対水速力12.5ノットから8ノットへ)南流による圧流が増大したものと考えられる。(その後、再び12.5ノットとした。)

水域D(ウズ鼻の南側水域)では大型船・小型船ともに、斜航角が大きくなっていることが認められる。ここでは、西水道に進入するための変針が行われた。潮流速が増大し始める水域であり、また転舵による斜航も加わって大きな斜航角が生じたものと考えられる。大型船では基準値を超えることはなかったが、小型船は基準値を超えることとなった。

水域C・水域B(ウズ鼻から小島の東側水域)では屈曲に従った変針動作により、潮流を左舷側から受けることになった。大型船・小型船ともに右舷側への圧流に伴う斜航角の増大を認めることができる。この時、大型船は最大でも10°を超えることはなかつ

 

 

 

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