(4)順中逆西:西水道・北航(南流時:シナリオ4)の場合
1)環境ストレス
操船環境ストレス値に着目すると、大型船・小型船とも水域Dおよび水域C(ウズ鼻の南側海域から小浦埼付近)で比較的高い状態が継続している。
交通環境ストレス値に着目すると、大型船の場合は若干の変動はあるものの航行全ルートに渡って増加傾向にある。小型船の場合は水域E(西水道の南側水域)と水域C・水域B・水域A(小浦埼付近から西水道の北側水域)において、それぞれ高まりを認めることができる。
大型船は、実験開始時に前方の同航船を右転して避け、以降は当該同航船とほぼ並航して北航することになった。交通環境ストレス値は主としてこの同航船によるものである。さらには水域B(小島の東側水域)において他の同航船を追い越す状況が発生し、値は増加することになった。実験終了直前に交通環境ストーレス値が最大値(1000)となっているが、これは小島付近で変針したのち、南流を右舷方向から受けて小島よりに圧流され、追い越した同航船に接近した影響による。
一方、小型船は実験開始直後に減速した。前方に位置する同航船との船間距離を確保するためである。このとき後方から同じく西水道を目指して北上する大型船があったため、航路の西端に遷移した。ここでの小型船の交通環境ストレス値の発生は当該大型船の追越し動作によるものと考えられる。(この間における交通環境ストレス値は大きく変動している。これは速力調整に伴い針路制御が併せて行われ、自船の針路が左右に振れたために同航船との間の見合い関係の発生/解消が繰返されたものと推察される。)
先行する同航船との距離が確保できたため、増速するとともに大型船の進路を考慮して西水道の西端を目指して航行した。水域D(ウズ鼻の南側水域)における交通環境ストレス値がほとんど認められないことは、こうした操船により他船(先行する同航船ならびに追い越そうとした大型船)との間に良好な位置関係を作ることができたからと考えられる。
水域C(小浦埼付近)以降に再び交通環境ストレス値の増大がみられるが、これは南流(逆潮)の影響を漸次受け始め、対地速力が低下し再び大型船と接近し始めたことに起因する。特に小浦埼沖の屈曲部付近で進路を東よりに転じたところ、潮流を左舷側から受ける姿勢となり右舷側への圧流が発生、大型船への接近が顕著になった。値の急峻な立ち上がりはこの状況に対応している。この後、西方へ変針したが、値の変動はこの大型船との関係によるものとなっている。
環境ストレス値では、大型船はいずれの水域においても基準値を超える結果となった。これは同航船と並航して通峡したことにより、総じて交通環境ストレス値が大きな値で推移した影響による。特に水域Dおよび水域Cにおいては、操船環境ストレス値も大きくなっているため、交通環境ストレス値とあわせて一層大きな値を示すことになった。
小型船の場合は基準値を超える箇所は極めて短い区間であるものの、操船環境ストレス値は総じて高い状況であるので、操船如何によっては、潮流の影響によって他船と危