・シナリオ6
南流時に右側通航で西水道を南航する場合である。西水道のA地点において追越しを行う場合には、被追越し船追越し船の最大操舵角をシナリオ4の場合と同様に表3-1-2に示す3通りに設定した。また、B、C地点における追越しの場合には、両船とも最大操舵角を±10°とした。
シミュレーション計算より得られた結果については、追越し目標地点を中心とした半径500mの円内の船舶の運動を対象として航行の安全性の評価を行った。以後、この領域を評価領域と呼ぶことにする。
3.1.2シミュレーション計算の実施および評価
図IV-3-2〜図IV-3-21にシミュレーション計算により得られた海域全体の航跡図、追越し目標地点付近の航跡の拡大図ならびに被追越し船および追越し船の回頭角と舵角の時系列を表IV-3-1に示したシナリオ毎に示している。
航跡図には被追越し船および追越し船の1分毎の船影を描いており、船影の横に記した数字はシミュレーション計算開始からの経過時間(分)を示している。従って“0”と記されている船影の位置がそれぞれの船のシミュレーション計算開始時における初期位置を示している。
以下、図3-1-2〜図3-1-21に示した結果の中から、いくつかの代表的な例を示して評価決定までの過程の説明を行う。
・シナリオ1:追越し目標地点をD地点とした場合
図IV-3-2はシナリオ1(順中逆西、北流、中水道・北航)において、追越し目標地点をD地点とした場合の結果を示している。追越し目標地点付近における航跡の拡大図を見ると、シミュレーション計算開始後7分から9分にかけて追越しがなされている。図中の円は評価領域を表しているが彼追越し船追越し船の両船とも評価領域内において比較的安定して針路を保っており、目標航路からの偏位量も50m以内となっている。また、追越しの際の2船間の側方距離は約122mと十分な距離が保たれていることから、安全に追越しがなされているものと評価し、評価結果は“◎”とした。
・シナリオ2:追越し目標地点をC地点とした場合
図IV-3-7はシナリオ2(順中逆西、北流、西水道・南航)において、追越し目標地点をC地点とした場合の結果を示している。追越し目標地点付近における航跡の拡大図を見ると、シミュレーション計算開始後23分から25分にかけての追越しがなされている。その時の2船間の側方距離は約150m十分保たれているものの、被追越し船である小型船の航跡に着目すると、左舷への圧流により目標航路から大きな偏位を生