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1)大型船に関する解析結果

i)シナリオ6-1-2

シナリオ6-1-2の状況設定の内容は以下に示す通りである。

通航方式:右側通航方式

通航航路:西水道

進行方向:南航

潮流:南流(順潮)

解析結果を図IV-2-20(1)に示す。図IV-2-20(1)-(a)は上段からSNS値、舵角、回頭角速度、主機操作を表し、縦軸はそれぞれの大きさを表している。横軸は経過時間を分単位で示している。SNS値の図中実線はしきい値の標準偏差を表し、黒く塗りつぶされた部分は、標準偏差以上のSNS値を示している。さらに図中に記載した?、?等記号はSNS値が顕著に変動する区間を表している。主機操作量の縦軸の数値0はFULL ASTERNを表し、以下1はHALF ASTERN、2はSLOW ASTERN、3はDEAD SLOW ASTERN、4はSTOP、5はDEAD SLOW AHEAD、6はSLOW AHEAD、7はHALF AHEAD、8はFULL AHEAD、9はNAVI.FULLを表している。

図IV-2-20(1)-(b)は航跡図であり、図中の実線は計画航路を示し、計画航路上の数値は計画針路を表す。また、図中に記載した?、?等記号はSNS値が顕著に変動する部分を表しており、SNS値の図中に記載した記号と対応している。図IV-2-20(1)-(C)は5分毎の航行船と自船の航跡図である。以下、交通図と呼ぶ。交通図中に示した航行船は本船と干渉関係にある航行船のみである。本図は主に自船と航行船との干渉関係を調べることに使用した。更に、実験中に操船者のオーダ、会話等を記録した行動記録も使用し、来島海峡航路操船下におけるSNS値のピーク時の要因をそれぞれ解析した。

以下、SNS値が顕著に変動する部分の要因について述べる。また、これ以降本文中で使用する箇条書き表題?、?等の記号はSNS値の図中に記載した値が顕著に変動する部分を表している。

 

?実験開始直後から3分のSNS値の増加

交通図より自船後方に航行船8が存在する。30秒付近のSNS値の増加は行動記録より、航行船8の行動推定によるものと考えられる。2分30秒付近のSNS値の増加は航跡図、舵角のタイムヒストリーより航行船8の前方を覆ぐことを避ける為の避航操船を行っていると考えられる。避航操船はコース指示を用いて実施されている。従ってこの区間におけるSNS値の増加は避航操船による知的負担と考えられる。

?4分から7分のSNS値の増加

航跡図により変針点に達していること、舵角及び回頭角速度のタイムヒストリーより変針操船(計画針路122°→計画針路192°)が行われていることがわかる。特に、5分30秒〜6分は標準偏差以上のSNS値が持続していることがわかる。これは自船が馬島 白石灯標への異常接近している時間と一致している。従ってこの区間におけるSNS値の増加は変針操船および馬島 白石灯標への異常接近によるものと考えられる。

 

 

 

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