2.2操船者の生理的反応による比較
本節ではシミュレータ実験時、計測を行った心拍データを用いて操船者の知的負担について検討を行った結果について述べる。操船者の知的負担は心拍変動データ(R-R間隔)をスペクトル解析を行うことにより得られるSNS値を用いる。
知的負担はSNS値の大きさと、一定レベル以上のSNS値の発生頻度に比例することとなる。今回は実験結果の一定レベル以上のSNS値の発生頻度を知的負担の評価指標として解析を進めることとした。本解析で設定したSNS値の評価基準レベルは、標準偏差の1倍以上のSNS値を知的負担を受けている有意なレベルとした。以下、SNS値標準偏差の1倍以上の値発生頻度をF-SNS値とする。
2.2.1解析・考察
今回、解析を行った実験シナリオを表IV-2-6に示す。
解析のポイントは操船者の負担が現行法規に基ずく航行方式から右側通航方式になることによってどのように変化することとなるかである。従って、南航時について考えると、現行と異なる状態が発生するのは南流時であり比較対象は右側通航で、通航航路は西水道(シナリオ6-1)のケースと現行法時、通航航路は中水道(シナリオ3-1)のケースである。
また、北航時について考えると、現行と異なる状態が発生するのは南流時であり比較対象については右側通航で、通航航路は中水道(シナリオ5-1)ケースと現行法時、通航航路は西水道(シナリオ4-1)のケースである。