?ケース6-1=3(大型船・南流・西水道・南航:右側通航)
<初期条件>
開始位置:C、針路:122°、エンジンテレグラフ:Half(対水速力12ノット)
<操船の概況>
ケース6-1=2よりも若干早めに転舵を開始(約3分の位置)した。
結果、ケース6-1=2に比較して圧流される量も少なく、スムースな操船(通峡)が可能であった。(Hardがとられることはなく、最大20°での制御が可能であった。)
<評価>
アンケートは取得していないものの、立会人・操船者からは特にケース6-1と同等であるとの意見がだされている。
<ケース6-1、ケース6-1=2およびケース6-1=3について>
ケース6-1、ケース6-1=2およびケース6-1=3は、「右側通航」として、南流時に西水道を順潮で南航するシナリオにて実施されたものである。
航跡図(図5-10.4)を比較するとケース6-1、ケース6-1=2ともにシミュレーション開始直後から南流により右舷側に圧流されているが、小島付近での船体の姿勢(針路)はケース6-1ではほぼ南を向いている(171°)のに比べケース6-1=2では南東方向(146°)となっている。その後、ケース6-1では南流する潮流に沿って南航できたが、ケース6-1=2では南(右)への回頭が不足し馬島に異常接近することとなった。
ケース6-1=3は、ケース6-1=2の操船結果を踏まえ、もう一度実施されたものである。小島付近での姿勢は針路165°であり、6-1=2に比べて南に向首している。その後、馬島側に寄る傾向はみられたものの、水道のほぼ中央部を航行することができた。
ケース6-1、ケース6-1=2ならびにケース6-1=3はともにエンジンテレグラフはHalf Ahead(対水速力12ノット)であり、全く同じ初期条件の下で実施されたが、結果として大きく異なる操船結果となった。そこで、シミュレーション開始から馬島に接近するまでの間(シミュレーション開始から6分経過するまで)に着目し、この間における潮流、舵角および速力について検討した。
図5-1-11.5にケース6-1、ケース6-1=2およびケース6-1=3における舵角、潮流の船体船首尾方向の成分、同じく正横方向の成分、対地速力、対地正横速度を示す。
シミュレーション開始後から約90秒後までは、各ケースとも舵をほぼ同じように用いており(図中?)、船体にかかる潮流および速力もほとんど同じ傾向を示している。
ただし、ケース6-1ではこの時点から、右舵が適宜とられ(図中網掛け)南下を開始している。ケース6-1=2はケース6-1とほぼ同じタイミングで右舵がとられるものの、直ぐに左に転じられ、南下のための右舵がとられたのはシミュレーション開始後以降240秒を過ぎてからで