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ある(?)。ケース6-1=3では、ケース6-1=2よりも早め(開始後約3分)に右舵がとられたが、それでもケース6-1から約90秒ほど後となっている(?)。

開始約90秒以降、ケース6-1では右回頭により潮流を船尾方向から受ける姿勢となり、潮流の船首尾成分は増加傾向にあるものの(?)、正横方向成分は減少傾向にあり(?)、これに伴って対地正横速度も減少している(?)。また、対地速力は開始後約240秒まではほぼ15.5ノット程度で推移し、以後最強流速域にさしかかるに従って増大している(?)。

一方、ケース6-1=2では開始後4分過ぎまでの間、左舵がとられていたために、左舷側からの潮流を受け続ける姿勢となり、潮流の船体正横方向成分の増大、ひいては対地正横速度の増大を招来した(?、?)。対地速力についても右転舵を開始する開始後約240秒までに増加を続けていることが認められる。

ケース6-1=2において右国頭を開始した時点では、対地速力ならびに対地正横速力が大きくなったため、舵効きが低下、回頭力が不足し、結果として馬島に異常接近してしまったものと考えることができる。

ケース6-1=3については、ケース6-1よりも約90秒程遅れて右舵がとられたため、各グラフはケース6-1=3と似かよった変化を示す傾向が認められるが、途中からケース6-1と同様な変化を示すようになる。航跡図を比較してみても、ケース6-1=3は、ケース6-1とケース6-1=2の中間的な結果であると判断できる。

以上のことから、当シナリオにおける各ケースの操船結果の違いは、主として小島付近での南下開始(転舵)時機によるものと考えることができる。3つのケースの転舵時機の比較から、少なくとも90秒程度(15ノットで約700m)の違いであっても後の操船結果に影響を与えると考えることができ、他船との遭遇状況如何によっては、操船者が転舵時機の決定に負担を感じる可能性があるといえる。

ただし、今回の実験におけるシミュレーション開始位置からのアプローチでは、左舷前方に同航船がいるシナリオであったため、ケース6-1でとられたような操船(小島にできる限り接近し、早めに潮流を船尾方向から姿勢とした)のみが、最適な操船と位置付けられる結果となった。現実には他船との出会いには種々の状況が考えられ、必ずしも今回における操船方法が最も望ましいものであるとは限らないことに注意が必要である。

 

 

 

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