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軸は時間経由を示し、各棒グラフ内で負荷レベルが変化している事を示している。縦軸はF-SNS値を示す。F-SNS値は負荷の時間変化に対し、時間応答がよいことがわかる。

3.2.4航路追従操船における知的負担の現れ方

前述の議論よりF-SNS値が知的負担の評価指標として有効であることが確認された。これを用いて、船舶運航の場における操船者の負担を推定することを試みた。東京商船大学の操船シミュレータを用い、航路追従操船を行った。実験条件設定を表? 3-2に示す。被験者は4人名である。

航路追従操船の困難度は風、潮流、変針角、船種を変更し設定することとした。操船結果はF-SNS値を用い、操船者が知的負担を受けるタイミング、操船者の変針前、変針中、変針後での知的負担の推移、各航路全体の操船困難度と知的負担ついて解析を行った。

(1)各設定航路において知的負担を受けるタイミング

図?-3-24は設定ROUTE1の実験結果の時系列一例である。上段から順にSNS値、舵角、横偏位距離、航跡を示す。SNS値の時系列にて縦軸から実線以上の発生頻度がF-SNS値である。図中?〜?はF-SNS値が高い時間を示す。

?〜?でのF-SNS値が高くなる要因には以下の事が推定される。

?、?は潮流による横流れによりブイ間を安全に航過出来るのかという負担

?、?はブイヘの接近により接触しないのかという負担

?、?は変針前の変針計画立案の為の負担

?は変針後、修正操船の為の負担

これらの推定は、実験中の行動記録、実験後の被験者からの聞き取りによって確定づけることが出来た。また、他の被験者、他の実験でも、ブイヘの接近、変針前、変針中、変針後、変針後の修正でF-SNS値は高くなっており、実験後の被験者からの聞き取りによって確定づけることが出来た。

(2)各操船内容(変針前、変針中、変針後)での知的負担の推移

操船内容を以下のように区分し、4人の実験結果を各操船内容毎でF-SNS値を集計した。

変針中:変針の為の操舵期間(当て舵を含む)

変針前:変針点5ケーブル前(ブイ)より変針操舵前

変針後:変針操舵後(当て舵終了)から修正操船終了まで、修正操船なければ、変針点後5ケーブル先(ブイ)まで

 

図?-3-25にその集計結果を示す。F-SNS値は変針中より変針前後で増加を示した。

これは、先に検証されている副次タスク法での結果と同等である(1)

 

 

 

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