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(2)SNS値による知的負担評価方法

知的負担はSNS値の大きさと、一定レベル以上のSNSノ値の発生頻度に比例すると考えられる。今回は実験結果の一定レベル以上のSNS値の発生頻度を知的負担の評価指標として解析を進めることとした。

一定レベル以上のSNS値発生頻度を評価指標とするには、その発生頻度が負荷レベルに比例し、更に負荷レベルの差異が明確に表現されるものでなければならない。

そこで、有意なSNS値のレベルを得る為に、4人の被験者に対しテストを行った。テストのタスク内容は、ランダムに組み合わされた平仮名を50音順に並べ替えるものであり、負荷レベルは並び替える平仮名の数で区別し、2、4、6文字の3種の難易度を決定した。問題数は各30間とした。

4人の各実験で得られたSNS値から有意なSNS値を抽出する為に負荷レベル毎に標準偏差の3倍、2倍、1倍を越えるデータを抽出し比較検討を行った。以下、各抽出基準での結果を図?.3‐20に示す。

標準偏差の3倍、2倍のSNS値の個数は2、4、6文字と負荷レベルに対して増加の傾向は示しているが明確な差異が表現出来ないことが判った。標準偏差の1倍のSNS値は、負荷レベルに対して直線的な増加が得られ、負荷レベルに比例している。更に負荷レベルに対するSNS値の差異が明確であるといい得る結果が得られた。以上の点から標準偏差の上倍以上のSNS値を知的負担を受けている有意なレベルとした。

以上の実験を行う中で、負担の変化はSNS値の発生頻度のみに変化を与えるのではなく、タスク処理時間も変化することが判った。又、タスクの処理時間を強制的に短縮すると発生頻度が増加する結果が得られた。図?-3-21に負荷レベル4文字に対して通常の処理時間の結果と3/4時間内で処理させた結果の標準偏差の1倍以上SNS値の発生頻度を示す。これにより、処理時間も知的負担に影響を与えることが確認された。一定のタスクに対し、負荷レベルが同じで有れば、その処理時間を長くさせれば知的負担は低く、短くすれば高くなるということが分かる。

以上の結果から知的負担の評価としてタスク処理時間と実験結果標準偏差の1倍以上の値を用いて研究を進めていく事とした。これ以後、先に述べたデータ処理を行ったSNS値標準偏差の1倍以上の値発生頻度をF-SNS値とする。

 

3.2.3変動タスクレベルにおけるSNS値の時間応答特性

F-SNS値による評価の時間応答特性を調査した。4人の被験者に対し負荷レベルが時間的に変化するテストを行った。テストのタスク内容は、ランダムに組み合わされた平仮名を50音順に並べ替えるものであり、負荷レベルは平仮名数で区別し、問題数各30間を負荷レベル4、6、2、7、5、3文字と順次変動させた。

図?-3-22にその実験結果の時系列の一例を示す。横軸は時間、縦軸はSNS値である。図中の実線はSNS値標準偏差を示しており、実線以上の発生頻度がF-SNS値となる。また、破線は負荷レベル(文字数)が変化するところである。

図?-3-23に、4人の実験結果を負荷レベル毎の時間とF-SNS値の集計結果を示す。横

 

 

 

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