?自船の周辺に現針路を中心に±90°の範囲の操船水域を考える。
?現針路を中心に±90°の範囲にわたり針路の刻み△ψごとに、危険顕在化(この場合は護岸など障害物への衝突)までの時間余裕を自船速力(V)と針路上の障害物までの距離(R)をもとに計算する。
?各針路刻み(△ψ)ごとに求めた危険顕在化までの時間余裕に対し操船者がどのような危険感を抱くかについては、護岸への接近を模擬したビジュアル操船シミュレータ実験とアンケート調査を通じて求められた回帰式SJL=f(R/V)を用いて置換する(6)。
SJL=a(R/V)+b (1)
ただし、SJL:護岸接近に対して操船者が感じる危険感
a、b:自船条件によって決まる係数
R:護岸までの距離
V:自船速力
なお、SJLの値と操船者の感じる危険感との関係は以下のとおりである。
+3非常に安全
+2かなり安全
+1やや安全
0どちらともいえない
-1やや危険
-2かなり危険
-3非常に危険
?同じ障害物でもそれが自船船首方向にある場合と側方にある場合とでは感じる危険感は異なると考えられる。このような障害物の存在方向により異なる感覚を方向重み関数を用いて修正する。
?針路刻み(△ψ)を1°にとり、求められた各針路ごとの±3の危険感を、+3を0とする0〜6の範囲に尺度変換し、±90°の針路範囲で総計してその瞬間の操船環境ストレス値とする。ただし、操船環境ストレス値は、現針路を中心に左右90°範囲のどちらを向いても危険顕在化までの時間余裕が十分な場合は、危険感最少の値0が180°範囲にわたって広がっている状態に相当するので0×180=0を最少、左右90°範囲のどちらを向いても直ちに危険が顕在化するような場合は、危険感最大の値6が180°範囲にわたって広がっている状態に相当するので6×180≒1000を最大として割り当てる。
?SJLの値は、0を安全と危険の境界、-1はやや危険、-2はかなり危険、-3は非常に危険というように、操船者が感じる危険感と対応付けがなされている。したがって、現針路を中心に左右90°範囲にどのようなレベルの危険感を与える状態に