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広がっているかによって操船者に課される操船困難上の負荷の程度を分類できる。具体的には、どちらを向いても同じレベルの危険感を与える状態が広がっている状況を基準状態として設定し、「非常に安全」と感じる状態から「安全と危険のどちらでもない」と感じる状態までの範囲(ストレス値では0〜500の範囲)を“Negligible”と位置付け、「安全と危険のどちらでもない」と感じる状態と「やや危険」と感じる状態と「かなり危険」と感じる状態の範囲(ストレス値では750〜900の範囲)を“Critical”、「かなり危険」と感じる状態と「非常に危険」と感じる状態のは範囲(ストレス値では0〜1000の範囲)を“Catastrophic”として位置付け、表?-3-1のように4つに分類した区分を用いて評価の基準とする。

 

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(2)環境ストレス値の算定

1)水路幅とストレス値

図?-3-2は、長さ100mの船が10ノットの速力で、幅に制約をうける平行水路の中央を直進航行するときの環境ストレス値を求めた結果を例示している。図には、水路幅を100m、300m、500mと変化させたときの計算結果を重ね描きしている。

図?-3-2の左上図は、平行水路を航行中に現針路を中心に±90°の範囲に渡り危険顕在(この場合は護岸への衝突)までの時間余裕を針路1°ごとにサーチした結果を示している。

なお、図中プロットの記号は見分けやすいように5°ごとに付している。これを見てわかるように、水路中央を直進する現針路上では危険顕在までの時間余裕は無限にある反面、針路が振れると護岸衝突への危険が迫る様子がみてとれる。しかし、水路が広い方が同じ針路の振れに対しても時間余裕は大きい。

図?-3-2の右上図は、各針路ごとにサーチした時間余裕に対する操船者の危険感を式(1)のもとでSJLの値に置換したものである。そして、図?-3-2の右下図は、±3の範囲で与えられる位比の値を0〜6の値に尺度変換したうえで方向重み関数を乗じた結果を示している。この図において特徴的なことは、航行水城を制約する平行護岸に対し操船者が感じる危険感の対象が集中する箇所が明確に現れる点である。通常、操船者が平行水路を航行するとき前方から後方までの護岸の全域にわたって満遍なく危険感を抱くのではなく、操船者が注視する危険の対象が斜め前方にあることからも、この指標は操船者の危険感をうまく表現するものとみてよさそうである。

図?-3-2の左下図は、横軸に時間経過、縦軸に0〜6に尺度変換した操船者の危険感

 

 

 

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