操船環境ストレスとは、自然条件、地形条件、施設条件など操船者を取り巻く周辺環境が操船水域を制約したり操船上の行動を制約するなど、操船の自由を制約する場合、そのような環境が操船者に課す負荷(ストレス)の大きさを表す定量化指標である。
一般に、狭い水路を航行したり危険が真近かに迫る水域を操船するとき、操船者は危険対象から離れるようにコース取りをしたり、または、速力を減じる。これは、操船の自由度制約に伴い、操船者が、危険顕在化までの時間余裕を手の内に確保することにより操船者自身に課される負荷を減じ、操船の困難さを克服しようとする行動の現れといえる。
このように、環境が操船者に課す負荷の大きさは、その環境下に潜在する危険が顕在化するまでの時間余裕と密接に関係している。いま、大洋航行中のように操船水城に何の制約もなく、自船針路の周辺いかなる方向に進航しようとも危険顕在化への時間余裕が無限または十分にある場合は、そのような操船環境は操船者には何の負荷も課すこともなく、操船に困難は感じない。しかし、港内のように操船水城が護岸や防波堤によって制約され、どの方向に進もうとも危険顕在化までの時間余裕が少ない場合は、そのような操船環境が操船者に課す負荷は大きく、操船には大きな困難を伴う。
操船環境ストレスは、このような概念に基づいて自船を取り巻く操船環境が操船者に与える困難性を表現しようとした定量化指標である。
環境ストレス値を具体的に求める手順は以下のとおりである。