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舶)である。マーテス機能が行先信号に代わりうるためには、船舶側の通信手段等の改善が必要となってくると考えられる。

この様な状況を踏まえ、船舶動静認識の手段の将来のあるべき姿を考えるとき、マーテスと船舶間、船舶同士間の通信メディア、システムに亘るハード、ソフトの発展、整備は、大きなチャンスとなり、マーテスの活用は、大きく展開する可能性がある。

このためには、関係者において、あるべき姿に向けての調査・研究と実施可能なものから段階的に実施していくことが必要であろうし、その結果において、通航船舶側の通信メディアの整備、マーテスの整備強化の提言も必要となってくるであろう。

 

4.6VHFの活用

海交法で行先信号の表示を定めた目的は、付近航行の船舶に自船の行動を予め知らせることによってお互いの見合い関係を安全なものにすることである。

しかし、正しい信号を行っても、付近航行の船舶が認識できなければ、その効果はない。気象条件によっては、必ずしも付近航行船舶が信号を目視、または、聴取ができるとは限らず、また輻輳する海域においては、夜間は、信号を行っている船舶を特定することが困難なケースもある。

現在、ほとんどの船舶が国際VHF(以下、VHFという。)の装置を具備しているが、現行の行先信号と共にVHF通信により付近航行船舶と情報を交換すれば、この状況は改善されるのではないかと思われる。

VHFによる船舶間の情報交換については、他船の特定、通信の輻輳等の諸問題はあるものの外国では、VIIF交信によりお互いに行先の情報を交換し、航行の安全を確保している例も多いことから、VLIF通信による情報提供・交換を促進し、海交法第7条の行先の表示に、併用することになれば航行の安全が図られることとなろう。

 

4.7周知等について

今回のアンケート調査によれば、運航者側から行先信号の方法について「当局による指導を望む」と「海図への記入によるPR」についての意見があった。また、関係者からの報告によると、現実に行先信号を十分理解していない船舶関係者も存在するという意見が聞かれることから、今後、規則を遵守するようPRを十分に行うとともに、全ての船舶が実行するよう指導が望まれる。

PRの方法として:

?海図に、その海域における行先信号の方法を記載する。

?行先信号を励行するよう、パンフレット(カラー)を作成し、各船舶、各所に配布し、指導する。

?可能な限り、小型船舶に至るまで、国際VIIFの聴取を指導する。

 

 

 

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