・後進の情報は、機関が後進の状態での時間送出される。
・自船のレーダーに妨害を与えない機能である。
本装置は、上記の性能要求から明らかなように、保針のための操舵と変針のための操舵とを区別するように設計されている。(舵角とその舵角を取っている時間との積分がある値に達した時に変針信号を発するように設計されている。)
また、旋回から直進へ移る際に行われるいわゆる当て舵操作や細かい操舵をキャンセルするために、右転や左転からその逆方向に操舵した時に積算を開始する時間を遅らせることを可能にする右転左転切替遅延時間の設定(0秒から30秒の範囲で5秒間隔)を行えるようにしてある。
なお、当該装置から発信された信号に関する法律的性格および運用上の指針等は、報告書中には認められない。
本研究は、財団法人日本造船研究協会が平成4年度から平成6年度に実施したものである。
(報告書名:新世代衝突予防システムに関する検討、1994年(財)日本造船研究協会報告書)
4.5マーチスの機能強化への期待
船舶の運航に当たって、自船周辺の他船等の動静を知り、また、自船の動静を他船等へ知らしめる船舶動静認識の手段の一つとしての行先信号の方法は、船舶交通の起源以来用いられてきた旗、音、光による視・聴覚信号が、新しいコミュニケーション・メディアの時代に入った現在も、なお、重用されている。
このことは、船舶問の情報交換方法が、船舶の特殊性、すなわち、船の大きさの大小の著しさ、用途の多種多用性、交通船舶の国際性等により、共通チャンネルを持つことに困難な諸問題があり、そのハードルが高いことを示している。
しかし、最近におけるニューメディアによる通信手段のめざましい発展が、このハードルを低くしてくれるであろうことは、間違いないようである。移動電話、データ通信、画像分野におけるマルチメディアが、我々の周辺に次々と誕生し、それが海上交通の通信分野においても容易に活用されることは、十分に予測されるものである。
かかる観点から、将来の船舶動静認識の手段の一つの方向性として、海上保安庁において船舶交通の輻輳する東京湾、瀬戸内海等で海上交通情報機構(海上交通センター)(以下、「マーチス」という。)等の整備・運用が図られている点に着目すべきであろう。各地の船舶交通の要衝に整備されてきたマーチスでは、機能の一つとしてレーダー.サービス.エリア内を航行中の船舶の動静把握とこれら情報の提供が、行われている。しかし、この動静情報はVHF無線電話等を有する船舶に限られ、その内容において行先に関する情報は巨大船等のほか予め通報を受けている特定の船舶に限られている。
一方、行先信号の義務船舟白は総トン数100トン以上(汽笛信号については備えている船