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数であること、及び使用周波数帯の調整などが未了であることから、同決議案の承認が見送られた。

なお、スウェーデンなどの北欧諸国は、「エストニア」号の事故を契機に、英国などが提案しているトランスポンダーとは異なる視点で、極めて詳細なデータを定時的に送信しうる性能基準案を提案している。

?IMOの場に二つの方式のAISが提案されていることについて、将来のAISとしては放送方式が適当であるという合意が得られつつも、その導入方法について1段階又は2段階(DSC方式→放送方式)のいずれを採用するかについては先送りのまま、両方式の性能基準案がそれぞれ作成され、承認のためMSC67に送られた。

?MSC67(1996年12月)においては、多くの国がAISの2段階導入に反対した結果、1段階のAISを長期計画で導入することが合意された。

また、AISの性能基準案について、「同基準案がWGのみで審議されてきており、全ての国がフォローできてないこと、及びフルテキストによる審議が未だなされていないことから、プレナリーにおいてあらためて再検討すべきである。」との日本提案が多くの国の支持を得て、同基準案は今次会合では承認されず、NAV43で再検討されることとなった。

となっている。

以上のような審議経過のあと、今年6月に開催されたMSC68において、テクニカルWGにドラフティンググループが設けられ、既存のDSC方式に比較して通報容量の多いAISの性能基準案が別添資料2のとおり作成された。

また、今年7月に開催されたNAV43での審議では、前述の二つの方式に対し、ドイツ、スウェデーンは、放送方式のみがこの性能基準案に適うものであるとし、米、英は、今すぐに適用できるVHF/DSC方式でも船対陸上において有益であるとの見解を示している。

ただし、性能基準案では通報容量が最低でも2,000reports/minとなったため、現段階では放送方式のみがこれを満たすものとなっている。この性能基準案については、来年5月に開催予定のMSC69において、MSC決議として採択される予定となっている。

また、船舶への搭載要件については、SOLAS条約第V章の改正において、第20規則として、すべての客船及び総トン数300トン以上の船舶に搭載を義務化する案が提案されており、次回のNAV44で審議されることとなっている。

 

(2) ITUでの審議状況

AISに関しては、既に前述の勧告M.825によるDSC技術を用いたトランスポンダー・システムの技術特性という形の国際的な基準があるが、現在、ITUの場にこの勧告の改正提案として、「密集した水路及びレーダーが有効でない場所での、船舶の追尾及び船舶間識別のためにAISの使用を拡張するVTS拡張メッセージを、またVTS用高速自動識別シ

 

 

 

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