日本財団 図書館


不安がある。主機以外でも発電器、操舵機、レーダ、ジャイロ等の正常な作動維持のため、平素の保守点検が重要である。

また、乗組員による保守、点検作業を確実に実施するためには、停泊中も含め同作業への必要な時間の確保、人員の確保についても重要な問題として捕らえる姿勢が必要である。

2)シングルハルタンカーにおける水先人についての検討

シングルハルタンカーはダブルハルタンカーに比べ、海難事故が起きた場合油流出の可能性が高く周辺海域および沿岸地域における影響が大きいと予想される。

従って、シングルハルタンカーはダブルハルタンカーより輸送の安全のための施策を強化することが必要ではないかと考えられる。

そのため、一定の大きさ以上で油を積載しているシングルハルタンカーに水先人を二人乗り組ませることにより、東京湾輻輳海域における大型タンカー輸送の安全を図る等について以下の検討を行った。

現在、主要地区における水先人二人乗り基準は表5.3-2の通りであり、東京湾においては港内水先では総トン数7万トンを船型の基準として二人乗りとされているが、港外水先ではLNG運搬船にのみ二人乗り基準が設けられその他の船舶では一人乗りが原則となっている。

ただし、水先約款では、主機、操舵機等重要機能が不安祝される場合、コンテナ船の5段積等で視野に制限が発生している場合等特殊な状況における船舶では、船長又は船舶所有者と協議の上他の水先人を同時に乗船させ、船舶の航行安全確保を図ることとなっている。

水先人を二人乗船させることは航行安全確保に寄与すると考えられるが、次の事項の整理、検討が必要と思われる。

?船長及び乗組員の資質の向上対策

水先人を二人乗船させなくても、船長、乗組員および水先人の平素の教育訓練による技術・技能の向上および運航当直体制の充実をはかることにより、東京湾内の船舶輻輳海域において水先人一人であっても航行の安全が確保されることが本質的なこととも考えられる。

?水先約款での水先人会と船長又は船舶所有者との協議に委ねる方法。

過去、水先人および船長は、船舶の航行安全確保に努めてきており、現行の水先基準によっても今回の事故例等数件を除けば安全な運航が為されていると言える。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION