(2) シングルハルタンカーの操船面の制限の検討
シングルハルタンカーにおいての航行安全に係る(又は部分的に関連する)事項についての検討結果を以下にまとめた。
1)シングルハルタンカーの問題点と対応(その動向)
シングルハルタンカーの問題点は主として船体の強度に係わる問題であり、事故発生に伴う船体損傷とこれが及ぼす流出油等の二次災害発生の防止、さらにその拡大の防止等災害の極小化のための船体強度増強の必要性の問題である。
船体損傷発生の原因は洋上での荒天に伴う損傷の発生、他船や障害物との衝突、座礁に起因するものであることから、IMOにおいてはこれらの事故発生時の船体損傷の極小化をはかるための対策としてダブルハル化とその促進がはかられていると理解する。
従って、船の運航面、特に湾内での操船面からは衝突、座礁の防止が焦点であり、これにつきるといえよう。
2)湾内での船舶航行の安全対策の現状
?海上交通安全法(含行政指導)による大型船(含深喫水船)の航法上の安全対策
・浦賀水道航路、中ノ瀬航路を航行する船舶で巨大船(長さ200m以上の船舶)は管制の法定対象船舶である。
・喫水17m以上の船舶については、中ノ瀬航路航行義務は当分の間適用されない。
・航路出航後も安全な航行が確認されるまで進路警戒船等を配備すること。
・中ノ瀬西側海域を南航する船舶は東京湾中ノ瀬D、CおよびBの各灯標を結んだ線から1000m以上離して航過すること。
・船舶は航路外の湾内水域においても高速力で航行しないこと。