日本財団 図書館


3.5 操船面から見た航路の設計

以上述べてきた制限された海域における操縦性の変化を考慮すると、航路を狭水道などにおいて設計する場合の考慮すべき点が自ら明らかになる。

我が国において港湾を設計する場合には「港湾の施設の技術上の基準」(運輸省港湾局)に則って設計が行われる。この基準はその時代の研究成果を取り入れて書き換えられるが、いまだ船舶の操船上の特性を十分取り入れた基準と言えない。

一方において港湾、運航関係者の世界的組織であるPIANC(Permanent International Association of Navigation Congress)等では造船学、港湾工学の成果を取り入れた操船面に配慮した基準が作られている。

130-1.gif

そこで、今回の事故に鑑み、特に航路の幅、水深等の項目について、航路設計時に考慮する必要のある操船要素について資料(PIANC(1995)[22])を中心に2、3考察する。ただし、以下の基準が設けられる物理的な意味はこれまで述べてきたことで理解できると思われるので詳しい説明は省く。

 

(1) 航路の幅

130-2.gif

航路幅を決定するには環境面、経済面からの検討も重要であるが操船面からの検討も重要である。

航路の幅は、例えば2レーンの場合、図3.5-1のような考え方をとる必要がある(Tsinker[23])。

図において、Bmは操船水域で、

130-3.gif

である。ここで、Lmax、Bmaxは通航させようとする最大の船舶の長さ、幅、βは潮や風による最大漂流角で通常5度から10度で大きくても25度を越えない値である。また、aは

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION