日本財団 図書館


図3.1-19は、上記シリーズタンカーにおけるZ試験のオーバーシュート量と、各船のZ試験における図3.1-18の点の通過時刻をΔとの関係を表している。この図の下図によると、針路安定性の減少はZ試験を行った時の第1オーバーシュート量を増加させている。したがって、一般には針路不安定なタンカー船ほど制御性能は劣化し、一回毎の舵角指示に対する行き過ぎ量が大きいと言える。

しかし、同図の上の図によると、第2の舵角が発令幅広船はオーバーシュート量は大きいが角速度が速く原針路に戻る時刻は、幅の狭い安定船と同じであり、その面では制御性能は良いとも言えよう。したがって、ほぼ同じ時間の間に大きなオーバーシュートを生じていることから、針路不安定船ではその間の角速度は速いと言えそうである。

115-1.gif

115-2.gif

3)針路安定性と浅水影響

肥大船は針路安定度が良くないことを前節で実験結果から明らかにしたが、浅水域においては、どのようになるのであろうか。

?スパイラル試験

このことを直接調べるには、浅水域でスパイラル試験を行う必要がある。図3.1-20は、278,000DWTタンカーの浅水域でのスパイラル試験の成績を示す。この図によると、Shallow域においては舵角0の原点付近でのループが解消しており、Medium水域で不安定度が一旦増しつつあったものが、急に安定化している。したがって、浅水域では針路は安定し、保針性能が良くなる。逆に保針性能が急に良くなった場合は注意せねばならない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION