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いずれのシリーズでも不安定度が増す(右方向にいく)と増加していることがわかる。これらの図は、不安定船の場合少なくともあて舵操舵(Checking Steering)等においてこのループ幅以上の舵角をとらないと、はっきりとした舵角効果がないことを示しており、操舵が困難であることが予想される。

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?Z試験

次に、図3.1-2のようなZ試験への針路安定性の劣化の影響を調べてみる。Z操縦性試験は通常行われる操縦性試験としては、比較的容易に行える試験であり、得られる情報も多い。特に、Z試験から得られる操縦性指数は船舶の大略の操縦性能を表すためには良い指標であるが、この指数を用いて旋回軌跡を描くと時に大きな差異を生じることがある。操縦性指数の使用は、針路保持操船中などの小運動に限るべきである。

最近のIMO操縦性基準の議論においては、操舵手と船との人間工学的見地から操縦性指数の針路安定性との関係が議論され、針路不安定船を建造段階で排除する基準作りに用いられている[7]。

いま、Z試験成績を細かく見るために、Z試験結果の主要点を図3.1-18のように定義したとする。この時、Δψを第1オーバーシュートと称する。この第1オーバーシュートの大きさ、第2オーバーシュートとの関係などが針路安定度を示す指標として使われる。

 

 

 

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