(6) 針路安定性に関する諸問題
針路安定性は、港内における操船に重要な影響を及ばす。もし、舵や外乱などの影響で針路からはずれて航行している場合にそれを出来るだけ速く修正する必要が生じるが、針路不安定な船はこの修正能力が劣化し、小舵角では場合によってはもとに戻らないことがある。一般的にいうと、タンカーに代表される箱形に近い船型をもつCBの大きな船舶の針路安定性は劣化する。また、船の長さLと幅Bの比が減少する(幅広船)ほど、針路安定性は損なわれる。
本来、船舶の操縦性において旋回性能と針路安定性は裏腹の関係がある。旋回性能が良い船は針路安定性に問題を生じ、旋回性の悪い船は針路安全性が増す。
ところで、同じ船でも航行する海域によって、旋回性が変化することは先に調べたとおりである。したがって、針路安定性も海域によって影響を受けることが予想される。