旋回の初期において、慣性の大きいタンカーは定常旋回角速度に至るまでの時間が長い。
図3.1-12、図3.1-13は、190,000DWTタンカー(主要寸法は付表2)が舵角5度および20度を発令した後、定常旋回に移るまでの船首角変化、船首角速度変化および速力の時系列を示したものである[4]。表3.1-3は、舵角5度発令後の船首角変化、角速度変化量を30秒毎に数値で示したものである。表3.1-3によると、10分を経過しても船首角速度は一定にならず、従って定常旋回に移行していないことがわかる。図3.1-14は、横軸の舵角を取った時のt=100sec、200sec、∞における船首角速度を示している。t=∞における曲線はスパイラル試験の結果と見なせるから、過渡状態における船首角速度応答がタンカーの場合いかに遅いかを示している。