日本財団 図書館


(5) 過渡応答特性

旋回特性はいわば、操縦運動でも大運動に属する。それにひきかえ、舵角をとって初期の操縦性は小運動で、定常運動に至る過渡期の応答である。過渡応答は、舵角を取ったときの初期の船首角、船首角速度の時間変化を見ることによって判断できる。制御工学ではステップ応答試験と呼ばれる重要な試験である。

111-1.gif

 

111-2.gif

 

111-3.gif

旋回の初期において、慣性の大きいタンカーは定常旋回角速度に至るまでの時間が長い。

図3.1-12、図3.1-13は、190,000DWTタンカー(主要寸法は付表2)が舵角5度および20度を発令した後、定常旋回に移るまでの船首角変化、船首角速度変化および速力の時系列を示したものである[4]。表3.1-3は、舵角5度発令後の船首角変化、角速度変化量を30秒毎に数値で示したものである。表3.1-3によると、10分を経過しても船首角速度は一定にならず、従って定常旋回に移行していないことがわかる。図3.1-14は、横軸の舵角を取った時のt=100sec、200sec、∞における船首角速度を示している。t=∞における曲線はスパイラル試験の結果と見なせるから、過渡状態における船首角速度応答がタンカーの場合いかに遅いかを示している。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION