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2)旋回特性と浅水影響

この旋回性も、今回の事故海域のような湾内や港内の浅水域では悪くなる。これは、浅水域であることから深水域では自由に流れていた水流が、下方向に制限されることによって自由に流れなくなり、船体がその分多くの流量の流体を受け、結果として旋回に対する抵抗増加が生じ、旋回しようとするタンカーの運動を妨げるからである。

序において述べたように、1977年の7月から8月にかけて、浅水域でのタンカーの操縦性能を調べるため、様々な実船試験が行われた[3]。付録に示す付表1は供試船の主要寸法を示す。実験海域はフロリダ州のスワニー河河口のメキシコ湾で水深は、水深(h)・喫水(T)比h/Tが、深水(Deep Water)時で4.2、中間水深(Medium water)で1.5、浅水(Shallow Water)時では1.2であった(図3.1-7)。 (以降、この実験結果を引用し、Deep、Medium、Shallowと記す場合、これらの水深・喫水比を指す。)

ここでは、この実験をもとに旋回性に与える浅水影響について調べる。

図3.1-8は、この278,000DWTタンカーの実船試験において、7ノットで進入してきた本船が35度舵角時の旋回軌跡をドップラーソナーで測定したものである。また、図3.1-9はその時の旋回要素を示し、表3.1-1はその時の実際の値である。横距は90度旋回時、旋回径は180度旋回時の数値である。また、表3.1-2は実際の操船に必要な最大の占有径(Swept Diameter)で示している。

 

 

 

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