(3) 巨大タンカーの形状特性とその操縦性能に与える影響
CB特性
巨大タンカーの特性は、文字通りその排出量や長さに現れる巨大性であることは言うまでもない。しかし、タンカーを形状的な特性から見て他の船舶と異なる点は、その肥大性である。以下に明らかにするように、船舶の肥大性は操縦性にさまざまな影響を与える。
船舶の肥大性を表す指標の代表例はブッロク係数CBである。図3.1-4は船種別のブロック係数CBを表す。タンカーの肥大性が、CBが大きさに端的に現れている。
(4) 旋回性能に関する諸問題
1)深水域での旋回性能
巨大タンカーの旋回径は、絶対値でみると例えば290,000DWTのタンカーでは、1,100mに達するなど非常に大きな値になる。しかし、船の長さLで割って規準化すると、一般に巨大タンカーのような肥大船は旋回性能は良いと言われる。図3.1-5は、旋回径Dを長さLで割った値を船種によって示しているが、舵角35度において2Lから3Lと他船種と比べ良い結果が得られている[1]。
図3.1-6は、スウェーデンのSSPAがまとめた舵角35度における定常旋回径(D)およびアドバンス(A)のDWTとの関係を示す図である。図には実船実験結果と模型試験結果からの推定値も混在している。