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(5)航海支援システムの活用について

中ノ瀬西側水域航行時の大型タンカーの操船に当たって、操船者は(1)に設定した基準の進路(経路)に基づき適確な針路・速力を選定し航行の安全を保持して行くためには、航海支援システムを活用し、航行・操船に必要な情報を入手し、これを適切に選定・活用し、操船者の航行・操船知識や経験等と一体となった総合判断に基づき操船計画が設定され、操船操作に移され、操船挙動の監視・評価を伴いながら対応が図られる必要がある。

1)本船既設の航海支援システムの活用

大型タンカーにあっては、操船情報の把握に必要な支援システムの装備については既に可成り充実している。

従って、これら既設の支援システムを効果的に活用し、操船計画の海図上表示、高精度船位の素早い把握と表示、操船挙動の的確な検出・表示および外部情報の把握・提示等必要十分な操船情報を操船者の判断に寄与し得る形で提示する必要がある。

そのためには、(4)に述べた運航当直体制の当直構成員それぞれの役割分担の実を得るための教育訓練すなわち総合的船橋リソースマネージメント訓練による航海支援体制の強化が望まれる。

2)航海支援システムの充実

船舶航行の輻輳かつ複雑な海域での大型タンカーの航行・操船の安全確保には、特に航行・操船情報の一元管理と必要且つ適切な処理情報の提供が必要である。

そのためには、操船計画と操船操作、操船挙動の表示の機器をはじめ、レーダやARPA、さらにはその実用化・応用化が進められているGPS(DGPS)、電子海図、AIS等の開発進展に伴い、これら新しい機能手段の開発に合わせて、航行操船の安全性向上に寄与する航海支援システムの構築・充実を指向することも望ましい。

 

(6)水域環境の整備と今後の対応について

船舶航行の安全は、整備された船舶航行の場すなわち航行路がその受入れ船型や船舶交通量等に対応した水域施設条件つまり航行路の幅員や曲率、形状および水深等の条件を備えた場によって確保されるものであり、船舶航行の安全確保の基礎となる。

中ノ瀬西側水域船舶航行路について望まれる今後の対応については、以下の通りである。

1)中ノ瀬A〜D灯浮標に沿っての20m以上の深水域の確保

中ノ瀬灯浮標A〜Dをそれぞれ結ぶ線の間には、灯浮標AとBおよびCとDを結ぶ線の西側に水深20m未満の浅水部が張り出している。それらを浚渫の上、20m以上の深水域として整備することが望ましい。

 

 

 

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