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しているタンカーが存在するということも考えられる。

この廃油ポールによる汚染防止については、タンカーにおける油性混合物の適正な処理と、外国船舶も含めた関係者の遵法精神の高揚による違法排出の防止が強く望まれるところである。

 

(3) 海上漂流物の実態

最近、全世界的な地球環境問題の一つとして、海洋におけるビニール、発泡スチロール等の海上漂流物による航行船舶、海洋生物への被害等の海洋汚染の問題が指摘されているが、海上保安庁ではこれらの海上漂流物の実態を把握し適切な対応を行うため、平成3年1月から定期的に目視による調査を実施している。

平成8年の調査結果によると、全体の約70%を発泡スチロール、ビニール類等の石油化学製品が占めており、前年に比べて確認した漂流物は大幅に減少している。

これらは、陸上で捨てられたものが海上に流出したもの、海上において捨てられたもの等が考えられるが、汚れのない海にするために、人々のモラルや遵法精神の高揚に努め廃棄物の適正処理について指導を強化してゆく必要がある。

 

2 海洋汚染の監視取締り

 

海上保安庁では、平成9年4月1日現在、全国に11の管区海上保安本部、118の海上保安部署等、14の航空基地を置き、354隻の巡視船挺、70機の航空機を保有している。特に、海上環境事犯の捜査にあたっては、海洋へ排出された油等の排出源を特定するために高度の化学的な分析鑑定技術を必要とするため、海上保安試験研究センター(立川市)に化学分析課を、また各管区海上保安本部に公害分析室を設置し、同時多成分計測システムやガスクロマトグラフ、赤外分光光度計、ガスクロマトグラフ質量分析計、分子構造解析装置など最新の公害分析機器を整備すること等により分析鑑定体制の充実強化を図り、油等の違法排出に対処している。

 

 

 

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