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これは,設計した補償系のゲインの正当性を示すものである。補償系は,船体モデルの不確かさを許容したH∞制御を用いて設計したものであり,その有効性が確認できた。

(3)同定系の評価試験

アダプティブ制御の同定は,主に手動によるZ試験操船を用いることを必要とした。

しかしながら,本同定系は,一回の自動変針で船体パラメータを同定できることを実船試験にて確認できた。実際の運航に近い10度または15度変針の同定結果は良好であったので,同定系の有効性が確認できた。この性能結果は新制御方式を実用化するために必須である。

(4)航路軌跡による変針評価試験

二回の40度変針を,GPS収録データによる航路軌跡で評価した。船首方位は正しく設定針路に制御されているにもかかわらず,船体の位置は設定針路方向に進まず横方向にドリフトした。これを修正するには,位置フィードバック制御が必要である。

オートパイロットがDGPS等の位置検出手段を持った航法装置とリンクした際,本方式は要求される制御性能を満足できるものである。

 

3.2 今後の課題

 

本制御系をVLCCの様な針路不安定船に適用した場合の検討と,実船による確認が必要である。

 

 

 

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