保守
保守及び修理(M&R)は一般的に唯一最大の操業費用である。燃料及び機械装置の形状はM&Rコストに相当影響を与えている。電気推進装置付船舶の計画M&Rコストを評価する場合、(二種類の異なった燃料を利用している)機械推進装置付の同種類の船舶と比較した場合、添付図表でも分かるように、相当な差異がみられる。HFO燃焼機械式ディーゼル機械装置の代わりにMDO燃焼ディーゼル電気機械装置を選定した場合は、M&R時間は30%も低く、予備部品費は40%も低くなっている。これを両者の全機械装置のM&Rコストに換算すると54%になる。
ポッド推進装置
伝統的フェリーからローパックス(ro-pax)及び高速船の組み合わせへの移行が現在ヨーロッパで実施されている。客船及び貨物船の最適速度も異なっており、客船では高速が必要であるが、貨物船では低速でのコストの低い輸送が好まれている(ただし、この事情は高速コンテナー船の誕生で変化しているのである)。高速フェリーと柔軟性に富むローパックス船の組合わせが、大抵の場合最適のものとなるようである。高速フェリーは主に夏季に運航し、ローパックス船は一年中運航されている。この様な事実をすべて勘案して船舶設計者は、高出力と貨物高積載量及び完全な経済性とを組合わせようとして、興味ある努力をしているのである。電気推進装置によって設計者は必要条件に対応できるが、新しいパワープラント解決策が必要である。
新しい全体の経済性を意図する思考が船舶設計の先鞭となっている。Prinsesse Bendikteに取付けてあるポッド推進装置は、最も将来性のある新しい解決策の一つであると考えられ、船舶設計のみならず生産ライン全体も改善する機会を与えているのである。
新しい船舶形状には下記の利点がある。
貨物運搬効率(積載量/軽荷重量)の20%増加
建造時間約4ヶ月または20%の削減
建造費10%の削減
少なくとも12%の推進効率の増加、それに伴う燃料費及び排気ガス排出物の減少。機械装置スペースの20%削減
ポッド推進装置によっては設計者に完全にモジュラー化されたディーゼル電気機械装置にもとずくローパックス船及び客船の開発ツールを使用できるのである。引張りポッド(牽引タイプ)推進装置(17-30MW)では25-28ノットの速度が可能であるが、低速でも効率的で、かなり柔軟性がある。機械装置の配列によって一定の主要寸法内で貨物・乗客のスペースを最大限に取ることが出来る。合理化された配列とモジュラー化された構造によって、鋼材重量と機械装置重量が軽くなり、結果的に載貨重量が増加している。