熱交換サイクルの性能
特定燃料低消費量(SFC)の追求
上記の技術の進歩により過去50年以上にわたりSFCは目覚しく減少した。しかるに、火花及び圧縮点火機関の改良によって、特に電子制御及び(複数バルブの使用による)体積効率の増大の見地からみると、自動車及び小型発電機セット等の大量市場からガスタービンを締め出してしまっているのである。
単純サイクル及び熱交換ガスタービンの典型的なSFCデータは第2図に示してある。単純サイクル機関の部分負荷の曲線は急勾配である。インタークール・熱回収ガスタービンは、圧縮点火機関の示す殆ど平坦な曲線にもっとも接近している。多くの時間を部分的出力に費やす戦車、船舶用推進機、および直結駆動自動車機関等の用途では、平坦なSFC曲線が重要であり、熱回収・再生サイクルの性能は容認できるもので、大型機関では、インタークール熟交換機関が望ましいのである。
電動機、発電機、フライホイールエネルギー蓄積の効率、出力・重量比の実質的改善によってハイブリッドガスタービン・電気駆動への関心を呼び起こしたのである。それらでは、小型ガスタービンが耐用期間中全出力,定速で作動し、この状態での低SFCを最高の状態にしているのである。一定の周波で出力しなければならない小型発電機セットでも同じ条件が必要である。全出力時の低SFCの要件については、直結駆動システムの場合よりも熱回収及び再生機関の設計時の要求度が少ないのである。
熱回収及びインタークールサイクル
ガスタービン機関の効率計算は十分に理解されたので「7」本論文では簡単に説明する。しかし、熱交換器がプラントの性能を高めるのに果たす役割について展望することは適切である。第3図に示す概括的データは各種熱力学的サイクルの圧縮機圧力比と効率との関係を理解できる典型的事例であり、その中の3種類は固定境界熱交換器を利用している。曲線をさらに包括的にしているその他の主要パラメータには、タービン吸気口温度、圧縮機及びタービン効率、熱交換器有効性がある。データは簡素化してあるので、主要な種類のガスタービンは今日の技術を基準にして比較できる。
熱回収の種類はかなり低圧比のサイクルに適しているが、圧力比がおよそ10以上では圧縮機吐出温度増大及びタービン出口温度減少のため熱交換器の使用が実質的には不可能である。熱回収装置は初期の低圧比産業用ガスタービン「8」に使用して成功しており、前記の機関を高性能熱回収装置に改造する市場が見込まれるかもしれない。低コスト天然ガスが豊富にあるので、現今は産業用熱交換ガスタービンへの関心が本来ないのである。次節で概説するとおり、次の世紀の当初における熱交換器の必要性は、自動車用途、舶用推進及び先端的産業用ガスタービン用途にある。