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図16に示すように、プロペラ励振の結果、1950rpmの時にかなり高い共振ピーク値が得られる。2つの点印は、設備上で実測した時に得た値である。とても容認できないことだが、このケースではプロペラ励振の場合でしか高いトルク振幅が得られていない。

 

プロペラ励振とエンジン励振間の干渉

代表的な舶用駆動系の第1固有モードを図17に示す。この図から明らかなように、エンジンは剛体として行動している。エンジンとプロペラにおける相対振幅は比較的大きく、この振動モードがエンジンとプロペラの両方から励振されたことを示している。エンジンとプロペラによる励振トルクが同一振動数を有している場合は、両励振源が干渉し合って極めて強い励振を発生させる可能性がある。プロペラとエンジンの相互作用はその相互位相に左右される。

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舶用動力系の設計に適用されていた古い規則では、プロペラのブレード数はエンジンの重大危険次数と同一であってはならないとしている。この規則では、重大危険次数のエンジン・トルクとプロペラ・トルク間の結合を回避することになる。

チャージ圧の高い最新型ディーゼル・エンジンの場合は、エンジン回転不規則性を無視することはまずできない。別の言い方をすると、重大でない危険次数に対する影響も考慮しなければならない。つまり、エンジンが剛体として行動するモードでも、エンジンとプロペラ間に干渉が生ずるのは実際上多かれ少なかれ避けがたい。

エンジンとプロペラ間に干渉が生しても、状況が悪化するというわけではない。エンジンとプロペラ間の最適位相差を選定すれば、状況を好転させることができる。この点に関しては、参考資料[15]を参照されたい。しかし、舶用小型エンジンを採用しているほとんどの設備では、通常プロペラを取りはずせるため、エンジンとプロペラ間の位相差は制御しにくい。

 

 

 

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