プロペラ励振の実際的側面
舶用駆動系のねじり振動解析では、プロペラとエンジンによる励振を導入すべきである。プロペラによる励振は、上述のねじり振動算定モデルに簡単に導入できる。しかし、実際的問題が2つある。
問題の一つは、最新の方法を使用すれば、プロペラ・トルクの倍振動構造を算定できるが、この種の計算が極めて複雑で、余り普及していない点に留意する必要があるという点である。多くの場合、励振概算値を想定する必要がある。たとえば参考資料[16]から引用できる推奨値もある。
もう一つの問題は、プロペラ励振の位相を算定しにくい場合が多いという点である。プロペラを取りはずせる場合、エンジンとプロペラ間の位相差はしばしば確率的なものとなる。計算を行う際には、多くの場合、最悪のケースにおけるエンジンとプロペラの位相差を想定する必要がある。
5.結論
1.マトリックス表記法を採用すれば、複雑な舶用駆動系における定常的ねじり振動を簡単にモデル化できる。
2.舶用ディーゼル・エンジンの高出力化、軽量化、コンパクト化に対する要求が強まれば、効果的な振動ダンパーの需要が一段と高まる。
3.ディーゼル・エンジンの平均圧とチャージ圧が高くなれば、舶用駆動系の設計においてエンジン回転不規則性を考慮しなければならない。
4.舶用駆動系では、エンジンとプロペラの励振を考慮する必要がある。